当社の女子従業員(50歳)は、6年前から当社に勤務し、厚生年金に加入しています。
当社に勤務する前は、ずっと専業主婦で厚生年金はもとより、国民年金に加入したこともありません。
55歳くらいまで、あと5年ほど勤務したいといっていますが、そうすると11年の加入しかありませんが、厚生年金はどうなるのでしょうか。
夫はサラリーマンです。
【東京・K社】
老齢基礎年金の受給資格期間を満たし退職している人には、厚生年金の加入期間が1年以上あれば、60歳から65歳になるまで、特別支給の老齢厚生年金が支給されます。
老齢基礎年金の受給資格期間は、原則として25年以上です。
ご質問の女子が厚生年金に11年加入したとしても、そのほかに公的年金に14年以上加入する必要があります。
5年後、55歳のときに仕事をやめ退職されますと、60歳になるまで5年間、国民年金に加入しなければなりません。
サラリーマンの妻ですから、そのときご主人がサラリーマンで会社に勤めている場合には、その妻は第3号被保険者になりますので、国民年金の保険料を支払う必要はありません。
ご主人が会社を退職して年金を受けている場合には第1号被保険者となり、自分で保険料を支払って国民年金に加入します。
60歳まで5年間国民年金に加入しますと、厚生年金の11年と合わせて16年間年金に加入することになります。
会社に勤務される前に、もし9年以上国民年金に任意加入されていれば、25年の受給資格期間を満たします。
しかし、全く任意加入していなくても心配はいりません。
サラリーマンの妻が国民年金に任意加入しなかった昭和36年4月からの20歳以上60歳未満の期間は、年金額の計算には反映されませんが、カラ期間として資格期間の計算に入れられます。
勤務される前に、カラ期間が9年以上あれば、老齢基礎年金の受給資格期間を満たします。
カラ期間を利用することによって老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていれば、60歳から厚生年金の加入期間11年に応じた特別支給の老齢厚生年金が受けられます。
また、65歳からは厚生年金の加入期間11年に応じた老齢厚生年金と、厚生年金と国民年金に実際に加入した期間に応じた老齢基礎年金を受けることができます。
【平成4年:事例研究より】