仕事が少なくなりましたので、当分の間、6時間勤務のパートタイマーの勤務時間を4時間に短縮することを考えています。
この場合、短縮した2時間に対して、使用者の責に帰すべき休業として60%の休業手当を支払わなければなりませんが、パートタイマーは時間給ですから、働いた4時間分の賃金でよいでしょうか。
【埼玉 T社】
労基法第26条は、使用者の責に帰すべき事由によって労働者が就労できなかった場合には、その休業期間中、平均賃金の60%以上の休業手当を支払うべきことを規定しています。
この休業は、全1日の休業であることは必要ではなく、1日の一部を休業した場合も含まれます。
1労働日の一部を休業した場合の休業手当の額について、行政解釈は 「1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責に帰すべき事由による休業がなされた場合にも、その日について平均賃金の100分の60に相当する金額を支払わなければならないから、現実に就労した時間に対して支払われる賃金が平均賃金の100分の60に相当する金額に満たない場合には、その差額を支払わなければならない」(昭27・8・7基収第3445号) としています。
全1日の休業であれ、1日のうちの一部の休業であれ、その日全休として平均賃金の60%までを強行法規をもって保障するものですから、1日2時間の休業をしても、労働した4時間分の賃金が平均賃金60%を超えていれば、休業手当を支払わなくても違法となりません。
その4時間分の賃金が平均賃金の60%に達しない場合には、その差額を休業手当として支払わなければなりません。
したがって、パートタイマーが労働した4時間分の賃金が、平均賃金の60%以上である限り、あらためて休業手当を支払う必要はないといえます。
パートタイマーは時間給ですから、休業した2時間に対して休業手当を支払わなくてもよいというものではなく、労基法第26条は、その日につき、全体として平均賃金の60%まで保障しようというものだからです。
たとえば、1日6時間労働で、時間給1,000円のパートタイマーが4時間労働して、4,000円が支払われた場合、平均賃金が4,200円であったとすると、平均賃金4,200円の60%である2,520円を上回っていますので、休業手当を払う必要はないわけです。
労基法の施行当初には、施行規則第10条に「使用者の責に帰すべき事由による休業期間中に労働者が賃金の一部を受けた場合には、使用者は、法第26条の規定によって、当該労働者にその平均賃金とその部分の差額の100分の60以上の手当を支払わなければならない」と規定されていましたが、法第26条を上回る休業手当の支払いを要求することになり、法律を超えた命令となる疑いがあるとする向きもありましたので、昭和24年11月の施行規則改正に際して、この第10条は削除されています。
【平成15年:事例研究より】