パートタイマーの在職老齢年金は低賃金でも適用対象になるか【平成16年:事例研究より】

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60歳代前半の女性を、パート採用します。

単純業務なので、賃金は最低賃金を目安に決定するつもりです。

女性は少額ですが、老齢厚生年金を受けているといいます。

仮に、厚生年金の被保険者にした場合、どんなに低賃金でも、在職老齢の適用を受けますか。

【佐賀・O社】

在職老齢年金は、高賃金者ほど支給停止額が大きくなり、一定限度を超えると全額ストップになります。

逆にいうと、賃金が低いほど、支給停止額は小さいはずですが、その最低レベルはどのくらいかという問題です。

佐賀県の地域別最低賃金は、時給605円。

1ヵ月20日、8時間勤務の場合、月給は、 605円×20日×8時間=9万6,800円 標準報酬月額は、最低ランクの9万8,000円に相当します。

このレベルの人でも、年金のカットを受けるのでしょうか。

収入が最も低い階層の人に対しては、年金2割カットが原則です。

対象は、8割支給の年金月額と総報酬月額相当額(標準報酬月額十標準賞与額÷12)の合計額が28万円以下の人です。

ですから、標準報酬月額9万8,000円でボーナスゼロの場合、年金の基本月額が18万2,000円(28万円−9万8,000円)以下なら、年金の支給停止割合は2割です。

つまり、元になる年金額が22万7,500円(18万2,000円÷0.8)なら、この範囲に収まります。

お尋ねの女性は、年金が少額というのですから、この2割カットの対象になると推測されます。

60歳代前半の在職老齢年金には、2割より低い支給停止率はありません。

どんなに賃金・年金が少なくても最低2割は減額されることになります。

勤務時間が多ければ、もちろん強制的に被保険者になりますが、30時間前後を予定しているのなら、対象外にすることも検討すべきでしょう。

60歳代後半の在職老齢年金については、収入が低ければ年金が満額支給されるケースもあり得ます。

【平成16年:事例研究より】