事務の都合で1月遅れで支給しているが、時間外割増は戻し入れて計算すべきか【平成15年:事例研究より】

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当社の賃金支払日は月末ですが、時間外等は事務処理に時間が掛かるので、翌月払いとしています。

これまで気に止めていませんでしたが、正確さを期すとすれば、算定基礎届を提出する際に、時間外分だけは1月前の給与に戻し入れるという形で計算する必要があるのでしょうか。

【三重 P社】

基準内賃金(固定給部分)と基準外賃金(時間外、休日、深夜割増分)で、賃金締切日や支払日が違う会社は少なくありません。

よく「賃金の全額払いや一定期日払いの原則に反しませんか」と尋ねられますが、「賃金締切期間については、必ずしも月の初日から起算し月の末日に締め切る必要はなく、支払期限については、必ずしもある月の労働に対する賃金をその月中に支払うことを要せず、不当に長い期間でない限り、ある程度の期間を経てから支払う定めをすることも差し支えない」と解されています。

このように各事業所によって賃金の支払い方法は統一されていないので、仮に「7月1日前3ヵ月間に発生した賃金」をベースに標準報酬月額を算定するとすれば、お尋ねのように翌月回しの賃金を前月に戻し入れたり、日数按分したり、膨大な手間が掛かります。

このため、健康保険法第41条第1項では、「7月1日前3ヵ月間に受けた報酬の総額をその期間の月数を以って除して得たる額を報酬月額とする」と定めています。

たとえば、5月1日から5月31日までの給料を6月10日に支払う場合は、その事業所の給与月分の所属は5月分であったとしても、「6月に受けた報酬」として取り扱うことになります。

5月16日から6月15日分を6月20日に支払うといったケ−スでも考え方は同じで、給与支払日が6月20日という1点に着目し、そのすべてが「6月に受けた報酬」とみなされます。

お尋ねのケ−スでは5月分の基準内は5月に、基準外は6月に支払われるわけですが、5月に払われた分は「5月に受けた報酬」、6月分は「6月に受けた報酬」という仕分けになります。

【平成15年:事例研究より】