入社時の労働条件の明示ですが、法律に基づく通知事項は5項目だと承知していました。
ところが、他社の労働条件通知書をみると、賃金支払の控除・ボーナス・社会保険の加入の有無等、たくさん項目が並んでいます。
そうした事項まで書面で明示する義務があるのでしょうか。
【富山 H社】
労働条件の明示は、書面を交付する事項と口頭で差し支えない事項と、2種類あります。
平成11年の法改正以前は賃金に関する事項だけが書面による通知事項でしたが、現在では次の5事項が規定されています。
・契約期間 ・就業の場所・業務 ・始業終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩、休日、休暇等 ・賃金の決定、計算・支払の方法、締切・支払時期 ・退職 法的には、このすべての事項を網羅すれば、書面の様式は自由です(平11・1・29基発第45号)。
しかし、現実にどのような書面で明示すればよいのか、戸惑う事業者が多かったので、旧労働省が労働条件通知書のモデル様式を作成し、普及促進に取り組みました。
明示事項が増えた背景には、労働移動の増大、就業形態の多様化に伴い、個別労働紛争が多発している状況があり、モデルでは法定事項以外にも記載が望ましい事項が付加されています。
口頭明示でも差し支えない昇給に関する事項(労規則第5条2項)のほか、賃金控除、賞与、退職金、社会・雇用保険の加入状況等についても記載欄が設けてあります。
トラブルを避けるという意味から、重要事項はできる限り書面によるのがベターでしょう。
【平成15年:事例研究より】