当社のパートタイマーは、全員3ヵ月の契約期間を定めて雇用しています。
雇用を継続する場合には、新たに契約を結び直しています。
3ヵ月契約を更新している場合でも、6ヵ月以上の雇用が続けば、10日の年次有給休暇を与えるのでしょうか。
契約期間は3ヵ月ですから、3ヵ月の間に10日の年休は不合理だと思われます。
パートの勤務時間は、1日6時間〜4時間で週5日勤務です。
【宮城 M社】
労基法第39条第1項は「使用者は、その雇入れの日から起算して6ヵ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない」と規定しています。
パートタイマーであって、1日の所定労働時間が短くても、週5白以上働いている者は、この規定が適用されます。
ご質問のパートタイマーは、1日6時間〜4時間の勤務で、週の所定労働日数は5日とのことですから、比例付与の対象とはならず、通常の労働者と同じ日数の年休を与えなければなりません。
3ヵ月の期間を定めて雇用しているパートタイマーについて、期間満了時に新たに契約を結び直していても、実質的には労働関係は継続していますので、継続勤務に該当します。
行政解釈は「一定月ごとに雇用契約が更新されても、その実態よりみて引き続き使用されていると認められる場合」は継続勤務に該当するとしています(昭63・3・14基発第150号)。
したがって、契約を更新し6ヵ月以上雇用することになる場合には、出勤率が8割以上であれば10日の年休を与えなければなりません。
ご質問では、契約期間が3ヵ月であるから、その間に10日の年休は不合理ということですが、年休の権利は、過去の勤務実績を要件として発生するものであって、将来の勤務期間は発生要件となっていません。
仮に、あと3ヵ月(3ヵ月契約ですから、あるいは6ヵ月)で退職が予定されている場合であっても10日の年休を与えなければなりません。
年休の権利は、6ヵ月間継続勤務した翌日に発生しますので、その後の雇用期間が3ヵ月または6ヵ月であってもその勤務期間に応じて比例按分(3ヵ月の場合は10日の4分の1の2.5日、6ヵ月の場合は10日の2分の1の5日)して与えることはできません。
あるパートタイマーが、その後の3ヵ月契約満了時に契約を更新することなく退職が予定されている場合であっても、請求されればその3ヵ月の間に10日の年休を与えなければなりません。
年休の権利は、法定の要件が充足されたとき、その労働者(パートタイマーも労基法上の労働者です)は法律上当然に所定日数の年休を取得するものですから、あと3ヵ月で退職が予定されている場合でも、10日を与える義務があります。
【平成15年:事例研究より】