社労士の受験準備中の者ですが、健康保険の任意包括脱退のことで質問があります。
脱退の要件として、被保険者の4分の3以上の向意が挙げられています。
しかし、任意加入の企業は従業員数5人未満(4人以下)のはずですから、4人のとき以外は、1人でも反対があれば脱退できないという意味になりますが、それで間違いないでしょうか。
【静岡 A夫】
健康保険制度では、法第3条3項に定める要件に該当する事業所は、すべて強制加入が義務付けられています。
任意加入すると、保険収支の悪い事業所ばかりが残る(良い事業所は脱退する)という「逆選択」現象が起こるので、公的保険という立場からすると、強制加入が望ましいのはいうまでもありません。
しかし、現実には、すべての個人・零細事業に加入を義務付けられないのが実情です。
このため、法律上、加入が強制されていない事業所も存在します。
そうした事業所は、任意で包括加入することができます。
包括加入とは、従業員の2分の1以上の同意がある場合、反対者も含めて全員が被保険者となる仕組みのことです。
任意加入の対象となるのは、法第3条3項に定める強制適用業種に属するけれど、従業員数5人未満の個人事業所と、非適用業種の個人事業所です。
法人は、すべて強制適用です。
労働保険の場合、暫定任意適用事業は、原則的に従業員5人未満の個人事業(農林水産業)です。
しかし、健康保険の場合、非適用業種には、人数の縛りがありません。
非適用業種の例としては、農林水産業や、一部のービス業などが挙げられます(表)。
ですから、任意適用は4人以下の企業に限られるというのは、早とちりです。
たとえば、8人の企業では、2人が反対しても6人が賛成なら任意包括脱退が可能です。
3人賛成1人反対のほかに色々なバリエーションが考えられるのです。
3人以下の事業所についていえば、ご指摘のように1人でも反対があれば、脱退はできないという結論になります。
★非適用業種
適用業種以外の業種をいう。具体的には、
①農林水産業
②弁護士などの専門サービス業
③旅館・飲食店などのサービス業
④理容・美容・クリーニング業などのサービス業
【平成15年:事例研究より】