従業員が入院し、高額の治療費がかかりました。
軽い気持ちで、高額療養費の対象になるでしょうと言ってしまったのですが、月をまたがった場合の扱いで心配になりました。
ある月の末に10日入院、次の月に1(j日退院したときに制度の対象にならないケ−スもあるのでしょうか。
【徳島 K社】
健康保険の被保険者負担は、原則、医療費の3割ですが、短期的に出費がかさんだ場合、一定額を補填する仕組みが設けられています。
自己負担限度額は、標準報酬月額56万円以上の上位所得者、一般の被保険者、低所得者の3区分に分けて定められています(表)。
平成13年の改正法施行で、上位所得者という新しい区分が登場すると同時に、従来の定額負担に加え、定率負担の考え方が導入されました。
現在、定率負担の割合は1%ですが、コストに対応する負担という発想は、今後の健保のあり方に大きな影響を与えるものです。
高額療養費に該当するかどうかは、レセプト1件ごとに判断されます。
このレセプトは、病院が一人ひとりについて暦月単位で作成します。
ですから、お尋ねのケースでは、月末までの分が1件のレセプト、翌月10日までの分が別のレセプトという形になります。
このため、入退院が同一月内なら高額療養費が出る場合でも、2月にまたがった結果、適用対象外になることもあり得ます。
同一疾病でも、レセプトが2件以上になったときは、注意が必要です。
【平成15年:事例研究より】