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育児休業した期間は、年次有給休暇の出勤率の算定に当たっては、出勤扱いしなければなりません。
当社の退職金は、最終月給に勤務年数に応じて定められている一定の率を乗じて算出されます。
年次有給休暇で育児休業期間が出勤扱いされることから、退職金の算定基礎となる勤務年数に育児休業期間を算入しなければならないのでしょうか。
【東京・N社】
育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業、同条第2号に規定する介護休業の期間は、年次有給休暇の出勤率の算定の際、出勤したものとみなさなければなりません。
年休の発生要件である8割以上の出勤率の算定に当たっては、1歳までの法に基づく育児休業期間は、これを出勤したものとみなして計算することになりますが、退職金の計算基礎となる勤務年数に、育児休業期間を算入するかどうかは、就業規則(退職金規定)の定めによります。
退職金計算上の勤務年数に育児休業期間を算入することは望ましいことでも、法はそこまで要求していません。
退職金は、労働協約、就業規則、労働契約であらかじめ支給条件が明確になっているものは労基法上の賃金です。
労働条件のひとつとして退職金について定めをする場合には、必ず就業規則に記載しなければなりません。
退職金制度があれば、1.適用される労働者の範囲、2.退職手当の決定、計算及び支払の方法、3.退職手当の支払の時期について就業規則に記載する必要があります(労基法第89条)。
この場合の退職手当の決定、計算及び支払の方法とは、たとえば勤続年数、退職事由等の退職手当額の決定のための要素、退職手当の算定方法及び一時金で支払うのか年金で支払うのか等の支払の方法をいいます。
また、退職手当について不支給事由または減額事由を設ける場合には、これは退職手当の決定及び支払の方法に関する事項に該当するので、就業規則に記載する必要があります。
退職金制度はいろいろですが、貴社のように「退職時基礎額」に「本人の勤務年数に基づく支給率」を乗じて退職金計算を行うケースが多くみられます。
こうした方法ですと、退職金計算上の勤務年数が重要となりますが、育児休業期間を勤務年数に算入するか、不算入とするかは、就業規則(退職金規定)の定めによります。
年休の出勤率の計算では、育児休業期間は出勤扱いですが、育児・介護休業法では、育児休業期間を退職金の基礎になる勤務年数に算入すべきことまで要求していませんので、育児休業期間を退職金計算上の勤務年数から除く規定であっても差し支えありません。
年休では出勤扱いですから、退職金の勤務年数でも算入ということにはなりません。
他の私傷病休職期間の取り扱い、育児休業をとらなかった者とのバランスなどを考え、育児休業期間を退職金計算上の勤務年数に算入しない例が多いといえます。
【平成16年:事例研究より】