出産育児一時金の範囲が拡かって娘の分娩でも請求可能か【平成16年:事例研究より】

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娘が出産の準備で、実家に戻っています。

法改正で配偶者以外の家族でも、出産育児一時金が支給されるようになったと聞きます。

娘が実家で出産した場合には、主人の健康保険で一時金を請求するのでしょうか。

【宮城・M社】

家族の出産に関する規定は、従来、健康保険法の第59条の4にありました。

「被扶養者タル配偶者が分娩シタルトキハ被保険者に対シ配偶者出産育児一時金トシテ政令を以ツテ定ムル額(30万円)ヲ支給ス]。

しかし、平成14年10月から第114条に移り、表記もカタカナからひらがなに変わりました。

「被保険者の被扶養者が出産したときは、家族出産育児一時金として、被保険者に対し、政令で定める額(30万円)を支給する」。

以前に存在した配偶者という要件が消え、名称も、配偶者出産育児一時金から家族出産一時金に変わりました。

しかし、家族ならすべて対象になるわけではなく、あくまで「被扶養者」という条件がついています。

お尋ねの娘さんは、現在は独立して、夫と一家を構えているはずです。

だとすれば、自分自身が健保の被保険者か、夫の被扶養者か、あるいは国民健康保険その他に加入しているか、いずれかだと思います。

あなたのご主人が仕送り等をして家計を支えているなら話は別ですが、娘さんはご主人の被扶養者に該当しないと推測します。

出産一時金の権利が複数発生したとき、どちらを選ぶかは当人の選択です。

被保険者が資格喪失し、夫の被扶養者となった場合、自身の資格喪失後の継続給付による出産育児一時金と、夫の被扶養者としての家族出産育児一時金と2つの権利が生じます。

しかし、お尋ねのケースでは複数の権利が生じたわけではなく、選択の余地はありません。

娘さんは、あなたのご主人の被扶養者ではないので、ご主人の健保は使えません。

娘さんご自身が出産育児一時金を受けるか、夫が家族出産育児一時金を受けるか、状況に応じていずれかに定まります。

【平成16年:事例研究より】