従業員が風邪で早退し、病院に寄って薬をもらった後に事故に遭いました。
そんなに長い時間病院にいたわけではないのですが、通勤経路から逸脱したということで、通災とは認められないのでしょうか。
【高知 F社】
通勤とは、就業に関し、住居と就業の場所との問を合理的な経路及び方法により往復することをいい業務の性質を有するものを除くもの(労災保険法第7条第2項)とされています。
ですから、原則として合理的な経路を逸脱してしまうと、もはや通勤とはみなされず、逸脱後にヶガをしても通災として補償を受けることはできません。
ただし、「日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるもの」を、やむを得ない事由で最小限度行う限りは、逸脱や中断があっても、その間を除いて通勤災害と認められます(労災保険法第7条第3項)。
「日常生活上必要な行為」は、労災保険法施行規則第8条で、次のとおり定められています。
1 日用品の購入その他これに準ずる行為 2 職業能力開発促進法第15条の6第3項に規定する職業訓練、学校教育法第1条に規定する学校において行われる教育その他これに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為 3 選挙権の行使その他これに準ずる行為 4 病院または診療所において診察または治療を受けることその他これに準ずる行為 そこで問題になるのが、ケガをした地点です。
病院から通勤経路に戻る途中なら病院へ行くという行為に付随して起きた事故ですから、通災になりません。
しかし、すでに経路に戻って、再び通勤行為を始めていたら補償を受けることができます。
【平成15年:事例研究より】