半日年休で午後勤務に間に合わないが、遅刻の境目は何時から【平成15年:事例研究より】

トップ » 就業規則 » 就業規則の必要性と作り方(雛形)

当社の就業時間は午前9時〜午後5時30分(休憩正午から1時間)となっています。

半日年休は、正午を境に午後と午前に分けています。

午前中半日年休を取得した者が、午後1時の勤務開始時間に40分遅れて午後1時40分に出社しました。

半日年休は午後1時45分までと主張していますが、40分の遅刻として賃金カットしてよいでしょうか。

【静岡 O社】

労基法第39条第1項は「使用者は、その雇入れの日から起算して6ヵ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない」と規定しています。

10労働日という文言を使用し労働日単位を表している関係から、年休の最低単位は1労働日と解されます。

しかし、年休を半日単位で付与することも可能となっています。

行政解釈は、 「問 法第39条第1項に継続又は分割した10労働日となっているが、半日ずつ請求することができるか」 「答 法第39条に規定する年次有給休暇は1労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない」(昭24・7・7基収第1428号、昭63・3・14基発第150号) としています。

半日単位の年休を認めたようには読めませんが、「半日単位で付与する義務はない」にとどまりますから、労使間の合意により半日単位の年休の取得を認めても差し支えないという解釈になります。

半日単位の年休の請求があっても、使用者はそれに応ずる義務はありませんが、労使間の合意により半日年休制度を設け、半日単位で与えることにしても、労基法第39条違反として取り扱われないといえます。

年休を半日単位で付与するに当たって就業時間のどの時刻を中心に前半と後半に分けるかは、労使間の合意によって決めるべきです。

必ずしも前半と後半が同じ時間になるように分割する必要はありません。

就業時間が午前9時〜午後5時30分(休憩正午から1時間)という場合、昼休みの休憩時間を考え、午前(3時間)、午後(4時間30分)に分けるのが一般的です。

半日年休は、あらかじめ労使で決めた分割単位で取得させることになります。

ご質問の場合、正午を境に午前と午後に分割していますので、午前中に半日年休を取得、午後から出勤する場合は、午後1時が勤務開始時刻となります。

この午後1時の勤務開始時刻に40分遅れて、1時40分に出社したということは、40分の遅刻をしたことになります。

遅刻、早退、欠勤に対して労務提供のなかった時間に相当する賃金を差し引く賃金制度なら、40分に相当する賃金を差し引くことができます。

半日年休は午後1時45分までという主張は、就業時間を2等分して、前半(午前9時〜午後1時45分)、後半(午後1時45分〜午後5時)を同じ時間としている場合にいえることです。

【平成15年:事例研究より】