実家の商売を継ぐため、2年程前に退職した元社員が、先日、交通事故で亡くなったそうです。
退職しても、5年以内の死亡なら遺族厚生年金が出る可能性があったと思うのですが、今回のケースは当てはまるでしょうか。
【福井 W社】
厚生年金の被保険者だった人が死亡した場合も、ご指摘のように、遺族厚生年金の対象になるケ−スがあり得ます。
可能性があるのは、次のいずれかのはずです。
①被保険者資格を喪失した後に、被保険者だった間に発した傷病が原因で、初診日から起算して5年を経過する前に死亡したとき ②老齢厚生年金資格期間を満たした者が死亡したとき 障害等級1・2級の該当者が死亡したときも、遺族厚生年金の対象になりますが、退職理由からみて、そうした状況ではなかったと思います。
ご質問に5年以内とあるのは、この①が記憶に残っているからでしょう。
しかし、退職後ではなく、初診日から5年以内という点に注意が必要です。
たとえば、3年間病気休職した後で、退職したりすると、その後、2年以内の死亡しか対象になりません。
遺族厚生年金には、保険料納付要件もあるので、そちらのチェックも必要です。
在職期間に加えて国民年金に加入していないと、保険料納付済期間が不足するケースもありますが、この場合、年金の受給権を得ることはできません。
さらに、傷病が被保険者期間中に発したものでなければ、仮に退職後すぐに死亡したとしても、遺族厚生年金は出ません。
ですから、お尋ねのように交通事故では、①の要件をクリアしません。
家業を継ぐために退社されたというのですから、まだ年齢的には若く、老齢厚生年金の受給資格期間を満たしていない恐れもあります。
そうすると、②の要件に基づく年金受給も不可能ということになります。
妻と子がいて、国民年金に加入していれば、遺族基礎年金は出ます。
【平成15年:事例研究より】