同居で店の仕事を手伝っていると娘も被保険者に含むのか【平成15年:事例研究より】

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私は、現在、小さな食堂を経営している者ですが、数人の従業員の他、同居している娘も店の仕事をしています。

このような場合、娘は雇用保険の被保険者になるのでしょうか。

【岡山 M食堂】

雇用保険において「労働者」とは、事業主に雇用され、事業主から支給される賃金によって生活している者及び事業主に雇用されることによって生活しようとする者であって現在その意に反して就業することができないものをいいます。

さらに、「雇用関係」とは、民法第623条の規定による雇用関係のみでなく、労働者が事業主の支配を受けて、その規律の下に労働を提供し、その提供した労働の対償として事業主から賃金、給料その他これらに準ずるものの支払を受けている関係をいいます。

個人事業主と同居している親族については、当該個人事業主の下で就業し、一定の報酬を得ている場合でも、その者が「雇用される労働者」に当たるかどうかは必ずしも明らかではありません。

個人事業主と同居している親族の場合、事業主と利益を一にし、当該事業において事実上事業主に準ずる地位にある場合が少なくないからです。

以上のことから、個人事業の事業主と同居している親族は、原則として被保険者としません。

また、法人の代表者と同居している親族については、通常の被保険者の場合の判断と異なるものではありませんが、形式的には法人であっても、実質的には代表者の個人事業と同様と認められる場合があり、この場合は、個人事業主と同居の親族の場合と同様、原則として被保険者としません。

例えば、個人事業が税金対策等のためにのみ法人とした場合、株式や出資の全部または大部分を当該代表者やその親族のみで保有して取締役会や株主総会等がほとんど開催されていないような状況にある場合のように、実質的に法人としての活動が行われていない場合が、これに該当します。

なお、同居の親族であっても、次のイ〜八の条件を満たすものについては、被保険者として取り扱います。

イ 業務を行うにつき、事業主の指揮命令に従っていることが明確であること。

口 就業の実態が当該事業所における他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じ支払われていること。

特に、 (イ)始業および終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等 (口)賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切りおよび支払の時期等について、就業規則その他これに準ずるものに定めるところにより、その管理が他の労働者と同様になされていること。

ハ 事業主と利益を一にする地位(取締役等)にないこと。

ご質問の場合、個人事業であると解されますので、娘さんについては、上記イから八の条件に該当する場合のみ雇用保険の被保険者として取り扱われることとなります。

【平成15年:事例研究より】