平成15年4月から健保の自己負担割合は国民健保と同じ3割に統一されました。
これまで、退職者には任意継続を勧めていましたが、現在でも任意継続の仕組みは残っているのでしょうか。残す意味があまりないようにも思います。
【秋田・O社】
自己負担割合に差がなくなったため、健保のメリットが薄れたのは確かです。
従来、健保には、資格喪失後の療養の給付という制度があり、一定の要件を満たせば、退職前に罹患した病気に限り、健保の自己負担割合で療養を受けられました。
しかし、3割負担への統一に合わせて、この仕組みは廃止されてしまいました。
それに対し、任意継続被保険者の規定は現在でも残されています。
療養の給付という面では恩恵がなくなりましたが、いくつかの点て国民健康保険と違いがあります。
まず、任意継続被保険者は、在職者とまったく同じ保険給付を受けられるので、退職後に、病気、出産等があっでも、傷病手当金、出産手当金をもらえます。
ただし、保険給付に相当する事由が発生しなければ、[皮算用]で終わる可能性もあります。
もっと現実的な長所は、被扶養者の問題です。
国民健康保険には被扶養者という概念がなく、家族の分は「被保険者均等割」という形で保険料負担を課せられます。
任意継続になると、「退職前の標準報酬月額」と「28万円(平成15年4月に30万円から引下げ)」のどちらか低い額をもとに、保険料が算出されます。
全額自己負担でも、被扶養者の問題もあり、国民健康保険料より安いケースが少なくありません。
【平成16年:事例研究より】