埋葬費の場合、実際に埋葬に要した費用を基準に支給金額が決まります。
一方、埋葬料にはそうした規定がありませんが、仮に埋葬に要した費用が低額の場合、差額の返還を命じられる恐れがありますか。
【愛媛 N社】
健康保険の被保険者が死亡したとき、「被保険者により生計を維持していた者で、埋葬を行うもの」に埋葬料が払われます。
給付額は、標準報酬月額相当額(最低10万円)です。
しかし、該当者がいない場合には、現実に埋葬を行った者に対し、埋葬費が支給されます。
金額は、ご指摘のように埋葬に要した実費相当額ですが、埋葬料を上限とします。
両者の要件には、細かな点で違いがあります。
埋葬料の場合、「埋葬を行う者」とは、現実に埋葬を行う者又は行った者ではなく、社会通念上埋葬を行うべき(義務のある)者を指します。
一方、埋葬費は現実に葬儀を執り行った者が対象となります。
このため、埋葬料については、事前に申請することも可能です。
必要な添付書類は、被保険者証のほか、市町村長の埋葬許可証もしくは火葬許可証の写、死亡診断書など、被保険者の死亡に関する証明書です。
それに対して埋葬費は、葬儀の前に申請することはできません。
被保険者証、埋葬許可証など死亡に関する証明書に合わせて、埋葬に要した費用に関する証拠書類も添付しないといけないからです。
埋葬料は、費用を証明する書類は必要でなく、後から、審査等が入ることもありません。
仮に費用が低額だったとしても、還付の問題は生じません。
【平成15年:事例研究より】