学卒採用者から質問を受けたが、出世払いの仕組み教えて【平成15年:事例研究より】

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4月に採用した学卒者を対象に、社会保険加入の説明をしていたところ、学生時代に免除されていた年金保険料の「出世払い制度」について、質問を受けました。

私も「出世払い」ということばを耳にしたことがありますが、「卒業後、厚生年金に加入して一定期間保険料を納め続ければ、学生時代の免除分が帳消しになる」というような規定があるのでしょうか。

【大阪 K社】

国民年金では、20歳以上60歳未満の人は学生でも強制加入という建前ですが、学業が本分であることから、保険料については免除制度が設けられています。

以前は、親の収入に基づいて免除の可否が定められていましたが、現在は、本人収入(原則68万円以下、給与所得の場合、控除額含め133万円以下)が基準になりました。

通常、年金を計算する場合、免除期間は、保険料納付済期間の3分の1としてカウントされます。

1円も保険料を納めなくても、納めた人の3分の1の年金はもらえるのです。

しかし、学生の納付特例に関しては、免除期間が長くても、年金額には反映されません。

年金受給権の有無を判断する場合には、通常の納付済期間と同じように資格期間に加算されますが、3分の1保障の計算は適用されないのです。

それでは、学生で免除を受けた人は、一生、その分のハンディを取り返せないのでしょうか。

実は、免除後10年に限って、遡及納付することもできるのです。

追納した場合には、通常の納付済期間と同じ扱いになります。

卒業後、安定的に収入を得られるようになってから、追納により免除期間の埋め合わせをすることを、「出世払い」と呼んでいるのです。

厚生年金の被保険者になると、労使折半で高い保険料を支払うようになりますが、厚生年金から国民年金に拠出する1人当たりの金額は、国民年金加入者と変わりません。

厚生年金の被保険者期間が長くても、過去の免除期間が帳消しになることはなく、追納しない限り年金面での不利は残ります。

【平成15年:事例研究より】