トップ » 安全衛生 » 労働安全衛生法で定める労働災害防止
当社は、本社の他に2ヵ所の工場、数力所の販売店を有し、その販売店の一部には修理部門が併設されています。
労働安全衛生法では、例えば、総括安全衛生管理者、安全管理者等について、事業場を単位として、業種・規模等に応じて適用される場合とされない場合があります。
一つの事業場の範囲は、どのように考えればよいのでしょうか。
【山口・K社】
労働安全衛生法は、事業場を単位として、その業種、規模等に応じて、総括.安全衛生管理者、安全管理者等の安全衛生管理体制に関する規定、職長等の安全衛生教育に関する規定、計画の届出等に関する規定等を適用することにしています。
この事業場に関して、通達では、次のように述べています。
「本法は『事業場』を単位として、その業種、規模等に応じて、本条その他の安全衛生管理体制に関する規定、工事計画の届出に関する規定(法第88条)等を適用することにしているが、本法による事業場の適用単位の考え方は、労働基準法における考え方と同一である。
すなわち、ここで「事業場」とは、工場、鉱山、事務所、店舗等のように一定の場所において相関連する組織の下に継続的に行われる作業の一休をいう。
したがって、一の事業場であるか否かは主として場所的観念によって決定すべきもので、同一場所にあるものは原則として一の事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とするものである」(昭47・9・18発基第91号)。
このように事業場とは、工場、事務所、店舗等のように、「一定の場所において相関連する組織のもとに継続的に行われる作業の一休」をいいます。
したがって、一の事業場であるか否かは、主として場所的な観念によって決定され、同一の場所にあるものは、原則として、一の事業場と考え、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場と考えるということになります。
例えば、本社が東京にあり、工場が大阪、名古屋にある場合等では、一般的にはそれぞれ別個の事業となると考えられます。
しかし、同一場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門が存する場合に、その部門を主たる部門と切り離して別個の事業場としてとらえることによって本法がより適切に運用できる場合には、その部門は別個の事業場としてとらえることとされています。
例えば、工場内の診療所、自動車販売会社に附属する自動車整備工場等はこれに該当するとされています(前掲通達)。
したがって、工場内の診療所、自動車販売会社に附属する自動車整備工場、学校に附置された給食場等は、それぞれ、当該工場、自動車販売会社、学校等とは別個の事業場として、この法律の適用を受けることになります。
貴社の販売店と販売店に併設されている修理部門についていえば、主たる部門と切り離して本法の適用を定めることによって本法がより適切に運用できる場合には、これに該当し、修理部門が販売店とは別個の一つの事業場と考えられます。
また、場所的に分散しているものであっても、出張所、支所等で、規模が著しく小さく、組織的関連、事務能力等を勘案して一の事業場という程度の独立性がないものについては、直近上位の機構と一括して一の事業場として取り扱われるとされています(同)。
例えば、JR各駅に設置されている売店等がその例で、これらの売店の一つひとつは1個の事業場と言い得るほどの独立性はなく、直近上位の機構と一括して1個の事業場として取り扱うこととなります。
なお、事業場の業種の区分は、それぞれの事業場ごとにその業態によって個別に決定します。
また、「常時何人以上の労働者を使用する」とは、日雇労働者、パートタイマー等の数を含めて、常態として、使用する労働者の数が当該以上であることをいい、いわゆる常用労働者の数のみで判断するものではない(昭47・9・18基発第602号)とされています。
事業場のとらえかたについては、それぞれの実態を踏まえて判断する必要がありますから、詳しくは、最寄りの労働基準監督署にお尋ねください。
【平成16年:事例研究より】