当社では、60歳に達した日を定年退職日に決めています。
最終日には、朝出勤し、各部署を回ってお別れの挨拶をしたのち、昼前には帰っています。
慣例で、健康保険上は定年退職の翌日を資格喪失日としていますが、釈然としません。
前日に事実上業務は終わっているのですから、挨拶の当日が資格喪失日ではないでしょうか。
【岡山 H社】
「そこまで厳密に突き詰めなくても」などという声が聞こえてきそうですが、月末退職を考えると、話を整理する必要がありそうです。
まず「60歳に達した日」がいつかを特定する必要がありますが、法律的にいうと誕生日の前日になります(年齢計算に関する法律)。
60歳の誕生日の前日が定年退職日になり、その翌日に被保険者資格を喪失すると判断されます。
健康保険の被保険者資格は、事実上の使用関係の有無をみて判断します。
退職日の前日に仕事は終了しているのだから、その段階で使用関係は途切れるのではないか、というのがご質問の趣旨だと思います。
しかし、最終日に挨拶回りをするだけとしても、それは慣例として就労が免除されているだけで、契約上の使用関係は続いていると解するのが相当でしょう。
仮に誕生日が2月1日の人がいたとします。
その人は、1月31日が定年退職日で、2月1日(誕生日)に資格喪失したという形で、処理する必要があります。
そうすると、資格喪失日の前月、つまり1月分の保険料まで納付しなければなりません。
最後のお別れの日(1月31日)を資格喪失日と考えた場合、1月分の保険料は納めなくて済むことになります。
このように、資格喪失日をいつと考えるかは重要な問題です。
定年退職日を誕生日の前日とするか当日とするか、あるいは一律月末と定めるか、それは企業の自由です。
しかし、いったん定義を確定した後は、資格喪失日も自動的に定まります。
手続き担当者の判断で、喪失日を任意に変えることはできません。
【平成15年:事例研究より】