私は、来月で60歳になるため定年により会社を退職することになりますが、離職後一定期間求職の申し込みをしないことを希望しています。
この場合、受給期間の延長は認められるのでしょうか。
【長崎 T男】
失業等給付は、本来短期的な失業の保護を目的としており、長期的な失業に対する対策は、雇用政策の促進に委ねるべきものであるため、基本手当の支給を受けることができる期間は、受給資格を取得した後における最初の離職の日の翌日から起算して、原則として1年間に限られます。
これを受給期間といいます。
しかし、当該受給期間内に、①妊娠、出産、育児等の理由により引き続き30日以上職業に就くことができない日がある場合、または②受給資格に係る離職が定年等の理由による者が当該離職後一定期間求職の申込みをしないことを希望する場合には、受給期間の延長が認められます。
ご質問の方のような場合については、上記②の受給期間の延長が認められることとなると思いますが、次のいずれかの理由により離職した者(当該離職により受給資格を取得した者に限ります。
以下「定年退職者等」といいます)である必要があります。
ただし、受給期間の特例に該当する場合には、この定年退職者等に係る受給期間の延長は行われません。
(イ)60歳以上の定年に達したこと (ロ)60歳以上の定年に達した後、勤務延長または再雇用により一定期限まで引き続き被保険者として雇用されることとなっている場合に。
当該勤務延長または再雇用の期限が到来したこと 上記(口)において、60歳以上の定年に達した後、勤務延長または再雇用により一定期限まで引き続き被保険者として雇用されることとなっている場合とは、定年制に準じる場合、すなわち、労働協約、就業規則等により、個人的な契約ではなく制度的に退職の期限が定められている場合に限られます。
また、当該勤務延長または再雇用の期限が到来したことが必要であるので、例えば、定年に達した後、1年更新の再雇用制度により一定期限まで引き続き雇用されることとなった場合に、再雇用の期限の到来前の更新時に更新を行わなかったことにより退職した場合は、これに該当しません。
定年退職者等について受給期間の延長が認められた場合、離職の日の翌日以後1年間に加えることができる期間は、求職の申込みをしないことを希望するとしてその者が申し出た期間(離職の日の翌日から起算して1年間を限度とします)に相当する期間です。
したがって、この場合のその者の受給期間は最大2年間となります。
受給期間の延長の措置を受けようとする者は、定年等の理由により離職した日の翌日から起算して2ヵ月以内に、延長申請書にその保管するすべての離職票を添付して住所または居所を管轄する公共職業安定所長に提出しなければなりません。
【平成15年:事例研究より】