定年後1年契約の嘱託再雇用者が、傷病手当金を受給中に契約期間が満了となる。受給中の手当金はどうなるか【平成4年:事例研究より】

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従業員Mは、昨年3月31日付で60歳定年退職となったのですが、その翌日から嘱託として再雇用しました。

1年の嘱託契約ですが、Mは現在、私病のため休業し、健康保険で治療して傷病手当金を受給しています。

病気のため契約の更新はなされず、契約期間満了で退職となりますが、退職後も引き続き傷病手当金を受給することができるのでしょうか。

【青森・T製作所】

健康保険の保険給付は、現に被保険者の資格を有する者に対して行われるのが原則ですが、退職して被保険者の資格を喪失した後であっても、一定の要件を満たしている場合には、資格喪失後の継続給付が行われます。

資格を喪失した際に、傷病に関し保険給付を受けていた者で、資格喪失の日の前日まで継続して1年以上被保険者であった者は、継続してその給付を受けることができます。

資格喪失後の継続給付は、資格喪失の際に行われていた給付に限られ、療養の給付だけ受けていた場合であれば療養の給付だけ、傷病手当金も受けていたのであれば療養の給付と傷病手当金が受給できます。

ご質問の場合、定年退職後、引き続き1年契約の嘱託で再雇用され、継続して1年以上の被保険者期間を有しています。

継続した1年以上の被保険者期間があれば、退職されても資格喪失後の継続給付を受給することができます。

資格喪失後の継続療養を受けるには、資格喪失後10日以内に「継続療養受給届」を社会保険事務所(健保組合の場合はその健康保険組合)に提出し、「継続療養証明書」の交付を受け、この証明書によって継続療養を受けます。

この手続きにより継続療養を受けている者が、資格喪失の際に傷病手当金の支給を受けていた場合には、退職後も引き続き傷病手当金を受給することができます。

資格喪失後の継続療養は、その傷病についてはじめて療養の給付を受けた日(初診日)から5年間が限度です。

また、傷病手当金の支給期間は、1年6ヵ月とされています。

支給期間は、その傷病について初めて傷病手当金を支給された日から暦のうえの暦月で計算されます。

したがって、退職されても法定の支給期間(1年6ヵ月)が満了するまでの間は、引き続き傷病手当金を受給できます。

もちろん、傷病手当金の支給期間内であっても、労務可能となれば傷病手当金の支給は打ち切られます。

【平成4年:事例研究より】