新入社員のなかで、実家が遠隔地のため寮に入る場合があります。
しかし、住民票は移動せず、そのまま生活しています。
理由は「面倒だから」「いずれ実家に入る」などです。
一般的に考えてどうかと思われますが、寮からの通勤時の事故は、通勤災害で問題はないでしょうか。
【静岡 N社】
労災保険の対象となる通勤とは、「労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復すること」をいうとされています(労災法第7条第2項)。
住居について、行政解釈は「労働者が居住して日常生活の用に供している家屋等の場所で、本人の就業のための拠点となるところ」と定義しています。
具体的には、①就業の必要性があって、労働者が家族の住む場所とは別に就業の場所の近くに単身でアパートを借りたり、下宿をしてそこから通勤しているような場合は、そこを「住居」としています。
②通常は家族のいる所から出勤するが、別のアパート等を借りていて、早出や長時間の残業にはアパートに泊り、そこから通勤するような場合、家族の住居とアパートの双方が「住居」と認められます(昭48・11・22・基発第644号)。
ご質問の寮は、就業のための拠点となっていますから、住民票を移動しなくても、通勤災害で問題となることはありません。
【平成15年:事例研究より】