トップ » 就業規則 » 就業規則の必要性と作り方(雛形)
就業規則に「休日に労働した場合には、1ヵ月以内に代休をとることができる。
代休日の賃金は無給とする」という代休の規定があります。
多くの従業員は、未取得の代休があるのに、代休を取得しないで代わりに年休を申請し、賃金の減額をカバーしています。
会社も黙認の形をとっていました。
代休日を無給とする意味がありませんので、代休がとれるときは、年休の申請を拒否し、代休取得を命じることはできないでしょうか。
【東京 N社】
代休とは、実際に休日に労働させてから、その後に休日労働の代償措置として以後の特定の労働日を休日として休ませることをいいます。
現に行われた休日労働が代休を与えることによって、休日労働でなくなるものではありません。
代休は法律上、与えることを義務づけられたものではなく、就業規則などの定めによってはじめて代休の付与を求める権利が生じます。
行政解択は、休日労働について「代休を与える法律上の義務はない」(昭23・4・9基収第1004号)としています。
休日労働に対して代休を与える必要はなくても、就業規則の定めで代休を与えることは望ましいことです。
「1ヵ月以内に代休をとることができる」という規定ですと、1ヵ月以内の所定・労働日を労働者が代休として請求し、使用者がそれを認めたとき、その日が代休となるものと考えられます。
「代休をとることができる」のですから、代休をとるかとらないかは労働者の自由な選択によるものと考えられます。
ですから、1ヵ月以内に代休のみをとる、代休と年休をとる、年休のみをとるーのいずれも可能と考えられます。
したがって、代休がとれるときに年休の請求があった場合、代休がとれるという理由で、その年休を拒否し、代休取得を命じ一方的に代休とすることはできません。
請求どおり年休を与えなければならないことになります。
労働者から請求された日に年休を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合には、使用者に時季変更権が認められていますが、代休取得を命じたいとのことですから、その日に休んでも事業の正常な運営が妨げられるということは考えられませんから、時季変更権を行使する余地はなく、請求どおりに年休を与えなければなりません。
代休日を無給とする意味がないということですが、どうしても未消化の代休を取得して欲しいというのであれば、今回請求があった年休日ではなく、別の日に代休も取得するよう要請することは可能と考えられます。
【平成15年:事例研究より】