育児休業の取得者が出たので、保険料免除の手続きをしようとしたところ、一将来受け取る年金面で損はないか、と聞かれました。
保険料を払ったときに比べ、絶対に不利は生じないと保証してよいでしょうか。
【長野 R社】
国民年金の場合、保険料が免除になった期間があると、受け取る年金額に影響が出ます。
受給資格の判定には関係しないのですが。
免除期間分に限って老齢基礎年金が3分の1に減らされるのです。
3分の1でも出ればいいという気もしますが、とにかく年金が減るのはいやと感じるのが人情でしょう。
お尋ねの従業員は、国民年金の話を小耳に挟んで、気にしているのかもしれません。
老齢厚生年金の算式(下掲)をみながら、問題の有無を考えてみましょう。
算式のうえでは、直接、免除という文字は登場しません。
関係するのは、平均標準報酬月額と被保険者期間だけです。
平均標準報酬月額は、被保険者だった全期間の標準報酬月額の平均です。
育児休業中保険料が免除されている期間は、保険料を払っていなくても、被保険者資格があることに変わりはありません。
資格を喪失して、保険料の納付義務がなくなるわけではありません。
資格があるのに、保険料を支払わないから、「免除」というのです。
育休中の標準報酬月額がどう決まるかというと、「休業の始まる前の標準報酬月額がそのまま使用される」というのが原則です。
標準報酬月額が下がらないのですから、被保険者期間全体の平均も低下する恐れはありません。
被保険者月数に関しても、育休期間は被保険者期間にカウントされる(老齢基礎年金も)ので、違いは出ません。
平均標準報酬月額、被保険者期間ともに、休業しなかった場合と何ら変わりはないので、年金額が不利になる心配はないといえます。
老齢厚生年金の算式
平均標準報酬月額×9.5/1000〜7.125/1000×加入期間の月数×スライド率
【平成15年:事例研究より】