夫婦共働きで、夫は当社で厚生年金に加入し、妻は他社で厚生年金に加入しているというケースが多くなっています。
夫婦がともに20年以上保険料を掛けたという場合、夫婦それぞれが老齢年金を受給することができますか。
同一世帯で夫、妻が同時に老齢年金を受ける場合、減額調整されるのではないかという人がいるのですが、この点どうなのでしょうか。
【愛知・M工業】
特別支給の老齢厚生年金は、厚生年金に1年以上加入し、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしており、60歳以上で退職している場合に、65歳に達するまで支給されます。
老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていれば、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給されます。
老齢基礎年金の受給資格期間は原則として25年です。
しかし、昭和27年4月1日以前に生まれた人は、厚生年金の加入期間が20年でよいことになっています。
夫婦が昭和27年4月1日以前の生まれなら、厚生年金に20年以上保険料を掛けることによって老齢基礎年金受給資格期間を満たし、退職していれば60歳(女子も昭和15年4月2日以後生まれから60歳)から特別支給の老齢厚生年金が受けられます。
夫婦が同時に老齢厚生年金を受けられるということで減額調整されることはありません。
夫、妻それぞれが自分の年金が受けられます。
一方、特別支給の老齢厚生年金を受けられるようになったとき、厚生年金の加入期間が20年(中高齢の特例の場合は15年〜19年)で、その人に生計を維持されている配偶者または18歳未満の子(障害者の子は20歳未満)がいる場合は、加給年金が加算されます。
加給年金は配偶者の場合、20万2,400円(平成3年度価額)ですが、この加給年金は、妻がすでに20年(または15〜19年)加入の老齢厚生年金を受けていたり、受けられるようになったときには支給停止されます。
したがって、夫が60歳になった後、退職して特別支給の老齢厚生年金を受けられるようになったとき、妻がまだ老齢厚生年金を受けていないなら、妻が老齢末生年金を受けられるまで、夫の老齢厚生年金に妻の加給年金がつきます。
ただし、妻の年収が600万円未満が条件となります。
夫婦が同時に老齢厚生年金を受給のときは、加給年金だけは受け取ることができません。
【平成4年:事例研究より】