専業主婦で厚年加入が6年余りのとき国年加入で不足分を埋められるか【平成4年:事例研究より】

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女子従業員(昭和11年10月生まれ)は、近く55歳になりますので、退職したい意向です。

ずっと専業主婦で、当社に勤務し厚生年金に加入したのは昭和60年4月からです。

厚生年金の加入期間は6年6ヵ月、それ以前に10年国民年金に任意加入しています。

加入期間が足らないと思われますが、退職後、国民年金加入によって不足分を埋めることができますか。

【和歌山・N社】

厚生年金、国民年金のいずれに加入していても、老齢の年金を受けるには老齢基礎年金の受給資格期間を満たすことが必要です。

老齢基礎年金の受給資格期間は、原則としで25年以上です。

55歳で退職されますと、60歳になるまでの5年間、国民年金に加入しなければなりません。

退職すると、夫はサラリーマンですからその妻は第3号被保険者になります。

自分で国民年金の保険料を支払う必要はありませんが、国民年金の加入者になります。

しかし、夫が退職した場合には、第1号被保険者となり、自分で保険料を支払って60歳になるまで国民年金に加入することになります。

こうして60歳まで国民年金に加入しますと、国民年金の加入期間15年、厚生年金の加入期間6年6ヵ月、合わせて21年6ヵ月の加入期間となります。

25年の加入期間には3年6ヵ月足りません。

しかし、サラリーマンの妻ですから心配はありません。

サラリーマンの妻が国民年金に任意加入しなかった昭和36年4月から20歳以上60歳未満の期間は、年金額の計算には反映されませんが、年金の資格期間にはカラ期間として加えることができるからです。

結婚し、夫が厚生年金の加入者であった期間は、カラ期間として計算されますので、国民年金に任意加入される前にカラ期間が3年6ヵ月以上あれば、老齢基礎年金の受給資格期間を満たすことになります。

以上のように、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていれば、60歳から厚生年金の加入期間6年6ヵ月に応じた特別支給の老齢厚生年金を、65歳からは厚生年金の加入期間に応じた老齢厚生年金と、厚生年金と国民年金に実際に加入した期間に応じた老齢基礎年金を受けることができます。

また、65歳から受ける老齢基礎年金には振替加算がつきます。

夫が受ける老齢厚生年金(20年以上)に加算されていた妻の加給年金が振り替れるものです。

【平成4年:事例研究より】