当社勤務の高齢女性パートについて、質問します。
ご主人が2級の障害年金を受けるようになったため、働きに出るようになりました。
この人が65歳になったとき、ほかの人と同じように振替加算を受けられるのでしょうか。
生計を維持しているのは彼女の方なので、振替の要件を満たさない気がします。
【高知・F社】
妻が65歳に達したとき、夫が妻の生計を維持し、配偶者加給年金の権利を有している場合、夫の加給年金がなくなり、妻の年金に一定額が加算されます。
これを、振替加算といいます。
ご質問のケースでは、ご主人が障害になった後、奥さんが働きに出たとあるので、夫の障害厚生年金には配偶者加給年金がついていると推測されます。
障害厚生年金の場合、配偶者加給年金額は一律22万8,600円です。
老齢厚生年金では、夫が昭和9年以降に生まれていれば、原則の金額に一定額が上乗せされます(表)。
これを特別加算といいますが、障害厚生年金には加算は付きません。
さて、一般的なケースでは、奥さんが65歳に達したとき、夫は老齢厚生年金のほかに、特別加算のついた配偶者加給年金をもらっています。
奥さんは、世間一般の意味で、夫に扶養されているといってよいでしょう。
ところが、ご質問の方の場合、65歳に達した段階で、夫は障害厚生年金と原則どおりの配偶者加給年金を受けています。
一家の生活は、むしろ奥さんのパート収入で支えられているといえるでしょう。
このとき、振替加算の対象になるかどうか、またその金額はいくらかという問題です。
まず、「夫に生計を維持されているか」という点てすが、生計を同一にしていて、かつ奥さんの年収が恒常的に850万円を上回らない限り、生計維持の基準を満たします。
ですから、夫の年金と妻のパート収入で家計を維持している状態なら、振替加算の対象になります。
次に金額ですが、振替加算の額は、奥さんの生年月日に応じて決まります。
夫がいくらの配偶者加給年金を受けているかは、関係ありません。
平成15年度中に65歳になるとすれば、振替加算の額は15万5,400円です。
結論をいえば、夫が障害厚生年金を受けているケースでも、奥さんは振替加算について、何の不利益もありません。
受給権者の生年月日 | 特別加算の金額 |
---|---|
昭和9年4月2日?昭和15年4月1日 | 33,700円 |
昭和15年4月2日?昭和16年4月1日 | 67,500円 |
昭和16年4月2日?昭和17年4月1日 | 101,300円 |
昭和18年4月2日以後 | 168,700円 |
【平成16年:事例研究より】