高年齢雇用継続給付と老齢厚生年金の調整で、質問があります。
年金がストップする率(併給調整率)は、定年時に比べ、どれだけ賃金が下がったかに比例すると聞きます。
そうすると、所定外給与の増減等に合わせ、給料が変動した場合、年金がストップする率も、月ごとに変わるのでしょうか。
【鹿児島・I社】
定年後、再雇用などで働く人の収入は、会社からもらう賃金、高年齢雇用継.続給付、在職老齢年金の3本立てで構成されるのが普通です。
しかし、高年齢雇用継続給付と在職老齢年金は、両方を全額受け取ることはできません。
高年齢雇用継続給付が優先で、在職老齢年金が減額される仕組みになっています。
減額する率は、ご指摘のとおり、「定年時に比べ、どれだけ賃金が下がったか」に応じて決まります。
しかし、どれだけ賃金が下がったかを計算する際、現実に月々支払った賃金は用いません。
具体的な規定をみてみましょう。
賃金の低下率は、定年時のみなし賃金月額と標準報酬月額を比較して、決定します。
定年時のみなし賃金月額は、「60歳に到達するまでの6ヵ月間に支払われた賃金の総額を180で除した額」と定義されています。
いわゆる、雇用保険法でいう「賃金日額」のことです。
これは、もちろん、定年時に固定で決まります。
標準報酬月額は、定年時の資格得喪の手続により、決定されますが、こちらも原則固定です。
ですから、「定年時に比べ、どれだけ賃金が下がったか」という賃金低下率は、確定値で定まり、以後、月々変動することはありません。
賃金が定年時の61%未満に低下した場合、在職老齢年金の支給停止率は6%です。
その後、仮に時間外等が増え、毎月の賃金が標準報酬月額を大幅に上回ったとします。
その結果、各月の受け取り賃金が定年時の61%を超えたとしても、都度、調整が実施されることはありません。
併給調整率は、6%のままです。
【平成16年:事例研究より】