日給制(賃金は月払い)の建設作業員が、傷病手当金を受けることになりました。
ところが、傷病手当金の算定ベースとなる標準報酬日額のことで、トラブルが生じました。
本人の主張によると、他の現場で働いていたときは、日給の額と標準報酬日額が同じだったということです。
そんなことが。
あり得るでしょうか。
【高知 Y社】
賃金の計算が日給方式でも、常用の社員として働いていれば、一般の被保険者になります。
一般の被保険者の「標準報酬日額」は、「標準報酬月額を30で徐した額を、5円未満切り捨て5円以上10円未満を10円に切り上げて処理したもの」ですから、仮に日給1万5、000円で月20日働いていたとすれば、標準報酬月額30万円、標準報酬日額は1万円になります。
傷病手当金はその60%ですから、6,000円です。
単純に、傷病手当金は日給1万5,000円の60%、つまり9,000円だと考えていたら、本人がびっくりするのも分かります。
しかし、標準報酬日額は、出勤日と休日を均らした平均の収入額と考えるべきです。
「他の現場では、日給と標準報酬日額が同じだったはず」という主張ですが、「標準賃金日額」と混同しているのだと思います。
日雇特例被保険者は、日給に応じて標準賃金日額が決まります。
標準賃金日額は13等級に分かれていますが、大雑把にいうと、日給イコール標準賃金日額です。
しかし、日雇特例被保険者の傷病手当金は、単純に標準賃金日額の60%ではありません。
「療養の給付を受けた月前2ヵ月または6ヵ月間のうち、最も多く保険料を納めた月の標準賃金日額の合計額の50分の1」と規定されています。
標準賃金日額1万5,000円という等級はなく、一番近いのは第10級1万5,750円です。
20日働けば、合計31万500円、その50分の1は6,300円です。
ですから、日給と労働日数が同じなら、一般の被保険者と日雇特例被保険者の傷病手当金はほぼ同じです。
【平成15年:事例研究より】