今年、定年で退社された方は、「自分たちは年金を満額もらえない。
今後、年金の支給開始年齢は、どんどん上がっていく」といっておられました。
私は、昭和40年生まれですが、何歳から年金が出るのでしょうか。
【宮城 N子】
厚生年金法第42条をみますと、「老齢厚生年金は、65歳に達したとき支給する」と定めています。
この年齢は、法改正がない限り、ずっと変わりません。
正規の年金支給開始年齢は、65歳なのです。
しかし、現実には、60歳定年で辞めてすぐ、年金をもらっている人たちがいます。
これは、特別支給の老齢厚生年金という経過措置があるからです。
特別支給の老齢厚生年金は、報酬比例部分と定額部分に分かれています。
平成13年4月以降15年3月までに60歳になる男性は、61歳になるまでは、報酬比例部分相当の年金だけしかもらえません。
平成15年4月以降17年3月までに60歳になる人は62歳にならないと、定額部分も含めた満額の年金をもらえません。
このように、生年月日に応じて、満額の年金を受給できる年齢が遅くなっていきます。
これを支給開始年齢の引き上げといいます。
女性は、男性より5年遅れのスケジュールで、開始年齢引き上げが始まります。
このように定額部分が払われる年齢がどんどん遅くなって、男性は昭和24年4月2日以降、女性は昭和33年4月以降に生まれた人の場合、定額部分をまったくもらえません。
しかし、それで話は終わりではなく、定額部分が消えた後、今後は報酬比例部分の支給開始年齢が生年月日に応じて、1歳ずつ引き上げられていきます。
結局、最終的には、65歳になるまで、年金は1円ももらえない世代が現れます。
あなたの場合、女性で昭和40年生まれですから、この経過措置が適用される最後の世代に属しています。
つまり、64歳から報酬比例部分相当の年金だけをもらい、65歳から法の本則どおり、正規の年金を受け取るという形になります。
【平成15年:事例研究より】