休日の出勤時間が深夜に及ぶ場合、8時間以内なら割増不要か【平成15年:事例研究より】

トップ » 残業 » 割増賃金

当社は、土・日を休日とする完全週休2日制となっています。

休日労働の割増率は、日曜を法定休日とし3割5分増し、土曜、祝日を2割5分増しとしています。

過日、業務上の必要から土曜の午後3時〜12時(休憩1時間)という勤務がありました。

この場合、深夜があっても、実働8時間ですから、1日の休日出勤として2割5分増しの割増賃金でよいでしょうか。

【神奈川 Y社】

労基法第37条は、時間外・休日労働をさせた場合には、「その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ命令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」と規定し、政令で時間外労働には2割5分以上の率、休日労働には3割5分以上の率で計算した割増賃金を支払うものとしています。

3割5分以上の率で計算した割増賃金を支払うべき休日労働とは、労基法第35条に規定されている1週1回または4週4日の法定休日の労働です。

週休2日制の土曜休日などに労働させても、週1日の休日(日曜)が確保されている限り休日労働に該当しませんので、休日労働の割増賃金(135%)を支払う必要はありません。

しかし、土曜休日に労働させるごとにより、その週の労働時間が週の法定労働時間(40時間)を超えることになれば、超えた時間が時間外労働となり、時間外割増賃金(125%)の支払を要します。

1日8時間、完全週休2日制で週40時間の場合、月曜から金曜まで週40時間となり、日曜を休日として休ませていても、土曜日に8時間労働させれば、週の法定労働時間40時間を超えた8時間が時間外労働となります。

法定休日以外の休日の労働でも割増賃金の支払いが必要となります。

法定休日以外の休日の労働でも割増賃金の支払いが必要となりますが、法定休日は3割5分増し、法定外休日は2割5分増しとする場合、「就業規則その他これに準ずるものにより3割5分以上の割増賃金率の対象となる休日が明確になっていることが望ましい」(平6・1・4基発第1号、平11・3・31基発第168号)とされています。

3割5分を支払う法定休日を日曜とし、それ以外の法定外休日は2割5分としていますので、土曜休日には125%の割増賃金を支払うことになります。

深夜の割増賃金は、労働時間の位置が深夜(午後10時から午前5時)という時刻にあることに基づき、その支払が要求されているものです。

深夜労働がたとえ所定労働時間内(8時間以内)であっても、深夜割増賃金を支払わなければなりません。

時間外労働が深夜に及んだ場合、その割増率は5割以上でなければなりません。

したがって、午後3時から10時までの労働に対し125%の割増賃金を支払い、午後10時から12時までの労働に対し150%の割増賃金を支払うことになります。

【平成15年:事例研究より】