毎月支給する赴任手当は、割増基礎から除外してよいか【平成15年:事例研究より】

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当社は、転勤者に限って毎月一定額の赴任手当を支給しています。

この赴任手当は、出張手当の意味合いで、出張の日当を基準として決められたものです。

前任者からの申し送りにより、時間外労働の算定基礎に算入していませんが、割増基礎から除外してよいものでしょうか。

【群馬 K社】

時間外・休日労働に対しては、「通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ命令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」とされています(労基法第37条第1項)。

具体的には政令で時間外労働の割増率は2割5分以上、休日労働の割増率は3割5分以上と定められています。

割増賃金の基礎となる賃金は、「通常の労働時間または労働日の賃金」ですが、①家族手当②通勤手当③別居手当④子女教育手当⑤住宅手当⑥臨時に支払われた賃金⑦1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金−は算入しなくてもよいことになっています(労基法第37条第4項、施行規則第21条)。

これらの除外してもよい7種類の賃金は、制限的に列挙されたものですから、この除外賃金に該当しない通常の労働時間または労働日の賃金はすべて算入しなければなりません。

なお、これらの除外される手当(家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当)は、「名称の如何を問わず実質によって取り扱うこと」とされています。

ご質問の赴任手当は、出張手当の意味合いで支給とのことですが、出張の際に出張旅費規定などに基づいて支給される実費弁償的な日当と異なり、転勤を容易にするため、転勤者に対して毎月一定額が支給されているものと考えられます。

毎月一定額が支給されていれば、通常の労働時間に対して支払われる賃金ですし、除外してよい手当のいずれにも該当しませんので、割増賃金の算定基礎に算入しなければなりません。

ご質問の場合の赴任手当は、割増賃金の算定基礎となる賃金で、除外することはできません。

赴任手当が、転勤により同一世帯の扶養家族と別居することを余儀なくされた者に支給されているものであれば、別居手当に該当し、割増賃金の算定基礎から除かれます。

【平成15年:事例研究より】