満1歳未満の子を養育する女性には残業が禁止されているようですが、妊娠6ヵ月で流産し、満1歳未満の子を養育していない女性でも残業させることはできないのでしょうか。
産後8週間の産後休暇が終了し、出勤しはじめたのですが、1年間は残業禁止となるのでしょうか。
【石川 T社】
労基法第66条第2項は、「使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない」、同条第3項は、「使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない」と規定しています。
妊産婦とは、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性をいいます。
妊産婦は、災害その他避けることのできない事由により臨時の必要がある場合(第33条第1項)、時間外・休日労働に関する協定届による場合(第36条第1項)であっても、時間外・休日労働をしないことを請求することができます。
また、妊産婦は深夜業をしないことを請求することができます。
出産の範囲について「出産は妊娠4ヵ月以上(1ヵ月は28日として計算する。
したがって、4ヵ月以上というのは、85日以上のことである)の分娩とし、出産のみならず死産をも含むものとする」(昭23・12・23基発第1855号)とされています。
妊娠4ヵ月以上の分娩であれば、流産も出産に該当します。
産後1年を経過しない女性が対象で、満1歳未満の子を育てていることは条件となっていません。
ご質問の場合、産後1年を経過していませんので、本人から請求があれば残業(時間外労働)をさせることはできません。
請求が条件となっていますから、請求がなければ残業させてもかまいません。
妊産婦からの請求は、就業規則にその手続きが定められている場合もありますが、必ずしも就業規則上の手続きを踏むことが法律上の要件とされるものではなく、口頭による請求であっても差し支えありません。
口頭であっても、請求があった場合は、残業をさせることはできません。
事業場で1ヵ月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型変形労働時間制を採用している場合、1日またはI週間の法定労働時間についても、妊産婦は労働しないことを請求することができます。
請求がなければ変形労働時間制も可能となります。
【平成15年:事例研究より】