労働者が海外で被災すると、ボーナス分の補償がないと聞きました。
同じ労働者なのに、どうして被災した場所によって、労災保険の給付内容に差が出るのでしょうか。
海外出張する際、心配です。
【宮城・S社】
海外で被災した場合、出張か出向(赴任)かで、労災保険上の扱いが異なります。
お尋ねでは出張中の事故を心配されていますが、国内の会社で働く従業員が海外で被災されても、それが業務上の災害と認められれば労災保険が適用されます。
ボーナス分の補償とは労働福祉事業から支給される。
のうち、(5)〜(8)までをいわゆる「ボーナス特別支給金」と呼び、労働者が受け取る定期賃金ではなく、ボーナス等の特別給与を算定の基礎とし支給するものです。
ご質問の「ボーナス分の補償」とはおそらくこのボーナス特別支給金のことを指すと思われますが、出張者にはボーナス特別支給金も支給されます。
問題なのは、海外赴任者の方です。
労災保険法の施行地外の会社には、労災保険の適用はありません。
日本人が業務上(もしくは通勤途上)に被災されても、当然には労災保険の給付対象になりませんが、それでは危険度の高い海外に派遣される労働者は安心して働くことができません。
そこで、日本国内の一人親方等と同様に、「海外派遣者と」として労災保険に特別加入する制度が設けられており、労災保険に特別加入した海外派遣者が被災した際には、労災保険から補償を受けることができます。
海外赴任者の月給、賞与の金額そのものは明確に把握できます。
しかし、赴任地の物価や通貨の変動にさらされ、そのままの金額を補償のベースにするのは適当ではないため、給付基礎日額を申請し、都道府県労働局長が決定するという仕組みをとっています。
海外派遣の特別加入者については、給付基礎日額を基に保険給付額を決定しているため、ボーナス特別支給金の対象にはなりません。
【平成16年:事例研究より】