育児短時間勤務制度の適用者が、育児に専念したいという理由で、退職を申し出てきました。
雇用保険法が改正されて、こうした場合、勤務時間を短縮する前の高い賃金で、基本手当が支給されるようになったと聞きますが、本当でしょうか。
【宮城・N社】
失業給付(基本手当)の金額は、原則として退職前6ヵ月の賃金をベースに計算されます。
しかし、育児休業法に基づく短時間勤務制度の適用を受けている場合、所定労働時間の減少に合わせて賃金をカットする会社が少なくありません。
もちろん、ノーワーク・ノーベイの原則に従う賃金の減額は、違法ではありません。
しかし、たまたま勤務時間短縮中に従業員が離職すると、本来受け取るはずの賃金より低い金額をベースに基本手当が算定されます。
この不合理を解消するために、「育児、介護による休業、勤務時間短縮措置についての基本手当日額算定の特例」の仕組みが創設されました。
育児休業、介護休業または育児・介護に伴う勤務時間短縮措置により賃金が喪失・低下していたときは、休業等の開始前の高い賃金をベースとして基本手当の日額を計算します。
ただし、対象者は、「倒産、解雇等の理由により離職を余儀なくされた人(特定受給資格者)」に限られます。
ご質問のヶ−スのように、短時回勤務中でも自己都合で退職された人に特例の適用はありません。
育児を理由に退職した場合、すぐに求職申込みをせず、受給資格期間延長の手続き等を取るのが普通ですが、延長期間終了後も基本手当の金額は、従来どおり退職前6ヵ月を基準に決定されます。
【平成16年:事例研究より】