健康保険は、被保険者である労働者またはその被扶養者の業務災害(労災保険法に規定する業務災害)以外の疾病、負傷、死亡または出産に関して保険給付を行います(健康保険法1条)。
健康保険制度は、医療保険制度の基本をなすものであることにかんがみ、高齢化の進展、疾病構造の変化、社会経済情勢の変化等に対応し、その他の医療保険制度および後期高齢者 医療制度ならびにこれらに密接に関連する制度と併せてその在り方に関して常に検討が加えられ、その結果に基づき、医療保険の運営の効率化、給付の内容および費用の負担の適正化ならびに国民が受ける医療の質の向上を総合的に図りつつ、実施されなければならないとされています(2条)。
健康保険では、国籍、年齢などに関係なく、適用事業所に使用される者が一括して被保険者になります。
ただし、法3条で一定の者は適用除外とすることが定められています。
主として被保険者の収入によって生計を維持している被保険者の扶養家族(原則75歳未満)は、被扶養者として保険給付が行われます。
被扶養者の範囲は次のようになっています(健康保険法4条7項)。
Ⅰの「弟妹」は平成28年10月1日から「兄弟姉妹」に範囲が拡大されます。
「生計維持」とは、おおまかに認定対象者の生活費の半分以上を被保険者の収入によってまかなっている状態をいいますが、この認定は次の基準により行われます(昭52・4・6保発9号)。
被保険者の資格を得るのは、任意継続被保険者を除き適用事業所に使用されるに至った日となっています(健康保険法35条)。
これは、事実上の使用関係に入った日という意味です。
例えば、4月1日に勤務が発令され、4月10日に勤めはじめたという場合は次のように給料・賃金の支払関係により資格取得日が決められます。
一方、被保険者が資格を喪失するのは、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(その事実があった日に更に資格を取得するに至ったときは、その日)です(法36条)。
事業所と常用的使用関係にある場合には被保険者となります。
常用的雇用関係にあるかどうかは、労働日数、労働時間、就労形態、勤務内容などから総合的に判断します(昭55・6・6付内かん、平22・12・10事務連絡)。
その場合、(1)労働時間と(2)労働日数で、それぞれ一般社員の4分の3以上あるときは、原則として被保険者として取り扱うべきとされています。
1日の労働時間が一般社員のおおむね4分の3以上であれば、該当します。
日によって勤務時間が変わる場合は、1週間をならして、所定労働時間のおよそ4分の3以上の勤務時間があれば該当します。
1カ月の勤務日数が、一般社員の所定労働日数のおおむね4分の3以上であれば該当します。
これらは、常用的使用関係の1つの目安です。就労の形態等個々の事例に即した判断が必要です。
平成28年(2016年)10月からは、パートやアルバイトなど短時間労働者に対する健康保険・厚生年金の加入範囲が以下のようになります。
日本では、「国民皆保険制度」により国民全員を公的医療保険で保障しています。
したがって、退職後も何らかの健康保険に加入する必要があります。
一般的には、(1)任意継続被保険者、(2)国民健康保険、(3)家族の健康保険(被扶養者)の3つの選択肢が考えられます。
退職などにより被保険者資格を喪失した者であって、喪失の日の前日まで継続して2月以上被保険者(日雇特例被保険者などを除く)であったもののうち、保険者に申し出て、継続して当該保険者の被保険者となった者をいいます(健康保険法3条4項)。
任意継続被保険者は、在職中に受けられる保険給付と同様の給付を原則受けることができます。
ただし、傷病手当金および出産手当金は、任意継続の加入とは関係なく、在職中からの継続給付の要件を満たす場合に限り対象となります。
保険料や保険給付の額を計算するうえでベースとなるのが標準報酬月額です。
被保険者が事業主から受ける毎月の給料などの報酬の月額を、5万8千円(第1級)から121万円(第47級)までの全47等級に区分しています。
健康保険の場合、標準報酬月額の上限該当者が、3月31日現在で全被保険者の1.5%を超えたときは、政令でその年の9月1日から一定範囲で標準報酬月額の上限を改定することができることになっています。
70歳未満の被保険者はかかった医療費の3割を、70歳以上75歳未満の被保険者は2割(ただし、平成26年3月31日までは1割)(現役並み所得者は3割)を一部負担金として医療機関の窓口で支払います。
現役並み所得者とは標準報酬月額28万円以上の人(単身世帯で年収383万円、夫婦世帯で520万円未満である場合は除く)が該当します。
通常のマッサージは保険医療機関で療養の給付として行われますが、保険医療機関以外で行うマッサージ(あんま・指圧)師による施術は、麻痺、関節運動の障害などで担当医が治療上その効果が期待できると判断し、保険者が必要と認めた場合に限って療養費が支給されます。
重い病気などで病院等に長期入院したり、治療が長引く場合には、医療費の自己負担額が高額となります。
そのため家計の負担を軽減できるように、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。
傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
傷病手当金は、被保険者が病気やけがのために働くことができず、会社を休んだ日が連続して3日間あったうえで、4日目以降、休んだ日に対して支給されます。
ただし、休んだ期間について事業主から傷病手当金の額より多い報酬額の支給を受けた場合には、傷病手当金は支給されません。
支給額は、病気やけがで休んだ期間、1日につき、標準報酬日額の3分の2に相当する額です。
出産育児一時金は、被保険者及びその被扶養者が出産された時に協会けんぽ支部へ申請されると1児につき42万円が支給されるものです。
産科医療補償制度に加入されていない医療機関等で出産された場合は39万円となります
なお、多胎児を出産された場合には、出産された胎児数分だけ支給されますので、双生児の場合は、2人分が支給されることになります。
健康保険では、保険医療機関の窓口に被保険者証を提示して診療を受ける「現物給付」が原則となっていますが、やむを得ない事情で、保険医療機関で保険診療を受けることができず、自費で受診したときなど特別な場合には、その費用について、療養費が支給されます。
海外渡航中に急な病気でやむを得ず現地で治療を受けた場合も(海外)療養費として、海外で支払った医療費の一部の払い戻しを受けることができます。
交通事故や喧嘩など、第三者の行為による負傷で、健康保険で治療を受けたときには「第三者行為による傷病届」を提出しなければなりません。
自動車事故等の第三者行為によりケガをしたときの治療費は、本来、加害者が負担するのが原則です。
しかし、業務上や通勤災害によるものでなければ、健康保険を使って治療を受けることができますが、この場合、加害者が支払うべき治療費を健康保険が立て替えて支払うこととなります。
そこで、協会けんぽが後日、加害者に対して健康保険給付した費用を請求する際に「第三者行為による傷病届」が必要となります。
特定保険料率は、前期高齢者納付金、後期高齢者支援金、退職者給付拠出金および病床転換支援金等の額を基準として保険者が定めるものです。
前期高齢者とは、65歳以上75歳未満の公的医療保険制度の加入者(国民健康保険や健康保険に加入)をいい、後期高齢者とは75歳以上の後期高齢者医療制度の加入者をいいます。
健康保険の被保険者が支払う保険料によって、こうした高齢者医療制度の負担の一部が肩代わりされたりしますが、その料率を明確にするものです。
一般保険料額は、標準報酬月額および標準賞与額にそれぞれ一般保険料率(基本保険料率と特定保険料率を合算した率)を乗じて得た額をいいます(健康保険法156条)。
労災保険でも、待期期間を計算する場合、同じような取り扱い規定があります。労災保険は「業務上の疾病」をカバーするものですから、疾病が業務中に発生したかどうか、チェックするのは当然です。
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入院時の食事費負担の制度は、平成6年にスタートしました。正式名称を入院時食事療養費といいますが、簡単にいうと、健康保険からの給付と本人の自己負担額により、入院時の食費を賄うというものです。
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ワークシェアリングには、大きく分けて多様就業型と緊急対応型の2種類があります。多様就業型は、長期的に、個人の希望も踏まえ、就労形態の選択肢を増やすものですから、正社員とパートの賃金水準の見直し...
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