当社は、仕事量が減少し、今後、回復の見込みがないため、労使話合いのうえ、ワークシェアリングを実施したいと考えています。
この場合、収入がダウンするのですから、健康保険の標準報酬月額も下がらないと困りますが、随時改定の対象になりますか。
【和歌山・T社】
ワークシェアリングには、大きく分けて多様就業型と緊急対応型の2種類があります。
多様就業型は、長期的に、個人の希望も踏まえ、就労形態の選択肢を増やすものですから、正社員とパートの賃金水準の見直しも含め、総合的な見地から時間当たり単価の決定が求められます。
しかし、緊急対応型は、当面の総人件費抑制を目的とするため、時間当たり単価を維持するのが基本スタンスになります。
所定労働時間が同じで、昇給・降給するのとは、話が違います。
随時改定は、固定的賃金に著しい変動があったとき、実施されますが、日給や時給制の場合、基礎単価の変更がないと対象になりません。
ワークシェアの場合、この点に紛らわしさがあります。
しかし、月給制が適用される正社員をターゲットにワークシェアを実施する場合、所定労働時間が減れば、当然、月給そのものがダウンします。
そうでなければ、緊急対応型の意味がありません。
時間見合いで基本給だけを引き下げるケースもあるのでしょうが、時間単価維持の考え方をとれば、その他の手当も減額するのが普通でしょう。
月給・手当の改定は、固定的賃金の変動に該当します。
ですから、その状態が3ヵ月続けば、随時改定の手続きを取ります。
【平成16年:事例研究より】