海外で病気感染しても、健康保険を使えると聞きます。
日本に帰ってきて発病し、入院するケースは分かりますが、もし海外で入院してしまったら、どうなるのでしょうか。
基本的な手続きを教えてください。
【埼玉・K男】
健康保険には、療養費という制度が設けられています。
離島等の僻地や海外などでケガしたり、病気にかかったりして、全額自己負担になったとき、原則として一部自己負担相当額(3割)を除いた残額を、払い戻してくれる仕組みです。
ただし、海外での治療ですから、日本で保険医にかかったときの費用を基準に、補填額を減らされるケースもあり得ます。
前提として、当然のことですが、あなたが健康保険の被保険者または被扶養者でなければなりません。
国内で健康保険に加入していても、海外の会社に赴任して資格喪失してしまえば、療養費は受けられません。
国内の被保険者資格があっても、業務で出張中なら、労災保険が適用されるケースもあります。
単なる旅行、または出張中でも業務外の傷病の場合、療養費の請求が可能です。
国内の療養費と海外療養費の考え方は同じですが、外国ならではの特異点もあります。
海外に健康保険の効く病院などありませんから、全額費用を支払いますが、この場合、現地通貨を用います。
領収書等も現地のことばで書かれているはずです。
ですから、海外療養費の支給申請書に領収明細書等を添付する際には、日本語の訳文をつけるとともに、翻訳者の氏名・住所も記載します。
海外で両替をして支払った場合には、本人の円建て負担額も算定できますが、海外療養費の場合には、支給決定日現在の為替換算率(売りレート)を用います。
短期の入院なら、日本に帰ってきてから、本人が手続きすることも可能です。
しかし、長期に及ぶようなら、会社が代理申請し、療養費も代理受領します。
レートの問題もありますから、会社もできる限り速やかに対応するよう努めるべきでしょう。
【平成16年:事例研究より】