総報酬制の導入後、傷病手当金の計算方法も変わったのでしょうか。
ボーナスを多くもらっている人は、保険料も多く払っているので、その分手当が増えると思うのですが、どうでしょうか。
【岡山・S社】
総報酬制の採用が先に決まった厚生年金では、ボーナス時に払った保険料が給付にも反映されるように、大幅な改正が実施されました。
しかし、健康保険の傷病手当金の規定は、条文の位置が変わり、カタカナ表記がひらがなに改められ、言い回しも現代風に修正されましたが、中身は変わっていません。
ご参考までに、新旧条文を並べてみましょう。
旧規定 第45条 被保険者が療養ノ為労務二服スルコト能ハザルトキハ其ノ日ヨリ起算シ第四日ヨリ労務二服スルコト能ハザリシ期間傷病手当金トシテ一日二付標準報酬日額ノ百分ノ六十二相当スル金額ヲ支給ス 第47条 第四五条ノ傷病手当金ノ支給期間八同一ノ疾病又八負傷及之二因り発シタル疾病二関シ其ノ支給ヲ始メタル日ヨリ起算シ一年六月ヲ以テ限度トス 新規定 第99条 被保険者が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期回、傷病手当金として、1日につき、標準報酬日額(標準報酬月額の30分の1に相当する額(その額に、5円未満の端数があるときはこれを切り捨てるものとし、5円以上10円未満の端数があるときはこれを10円に切り上げるものとする。
)をいう。
第102条において同じ]の100分の60に相当する金額を支給する。
2 傷病手当金の支給期間は、同一の疾病または負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を開始した日から起算して1年6月を超えないものとする。
新しい条文には、標準賞与額ということばは出てきません。
標準報酬日額だけです。
総報酬制に変わっても、ボーナスの多寡に関わらず、傷病手当金の額は月例の給与をもとに算定した標準報酬日額に比例します。
一般被保険者に対する保険給付をみると、9つある給付の中で、収入が関係してくるのは、傷病手当金、埋葬料、出産手当金だけです。
このいずれについても、算定のベースは、標準報酬月額だけで、標準賞与額は加えられていません。
厚生年金に比べれば、給付に反映させなくても、影響は小さいという判断でしょう。
健康保険法では、標準賞与額の上限を200万円と定めていますが、これは厚生年金の150万円より高水準です。
ボーナス時には、健康保険、厚生年金合わせて217.8(被保険者負担は108.9)の保険料が徴収され、結果的に手取りに大きく影響しますが、健保に限っては給付に反映されません。
【平成16年:事例研究より】