当社の従業員(健康保険の被保険者)が私病で死亡し、健康保険の埋葬料を請求することになりました。
ところが、その妻は共働きで、他社で健康保険の被保険者となっています。
請求する人が死亡被保険者の被扶養者となっていた場合と、被扶養者でなかった場合で支給額が異なりますか。
埋葬料と埋葬費の二つがあるようですが…。
これはどう違うのですか。
【青森O工業】
健康保険の埋葬料は、被保険者が死亡した場合、被保険者によって生計を維持していた者であって埋葬を行う者に対して支給されます。
埋葬料の額は、死亡した被保険者の標準報酬月額の1ヵ月分です。
この1ヵ月分が10万円に満たないときは、最低保障額として10万円が支給されます。
この「生計を維持していた」とは、生計の一部でも依存していた関係にあればよく、被扶養者の生計維持関係より範囲が広くなっています。
つまり、「死亡当時その収入により生計を維持していた者をいい、死亡者の収入により生計を維持していた事実があれば足りる。
民法上の親族または遺族であることを要せず、かつ、被保険者が世帯主であること、被保険者により生計を維持する者が、被保険者と同一世帯にあったか否かは関係ないことである」(昭7・4・25保規第129号)、「被保険者により生計の全部若しくは大部分を維持した者のみに限らず、生計の一部を維持した者も含む」(昭8・8・7保発第502号)とされています。
死亡した者によって生計の一部でも維持していたという事実があればよいのですから、被扶養者となっている必要はなく、夫婦共働きという場合、相互に生計を維持しているものと認められます。
また、「埋葬を行う者」とは、実際に埋葬を行う人のことではなく、客観的にみて埋葬義務のある人をいいます。
したがって、妻に対して埋葬料が支給されます。
その支給額は、死亡した被保険者の標準月額の1ヵ月分です。
妻が被扶養者であった場合と、被扶養でなかった場合で支給額が異なるものではありません。
埋葬料の支給を受けられる者がいないときには、実際に埋葬を行った者に対して埋葬費が支給されます。
身寄りのない被保険者の葬儀を友人、隣人などが行った場合です。
埋葬費の額は、標準報酬月額1ヵ月分(最低保障10万円)の範囲内で、実際に埋葬に要した費用とされています。
【平成4年:事例研究より】