平成15年のボーナスから、月給と同じ率の保険料が差し引かれるようにな.り、手取りの減少に従業員がびっくりしています。
ボーナスの回数を4回にしたら、得になるという話を耳にしますが、実際にはどうなのでしょうか。
【茨城・S社】
健康保険でいう「賞与」とは、「賃金、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもののうち、3月を超える期間ごとに受けるもの」(健保法第3条第6項)を指します。
「3月を超える期回ごとに受ける」とは、要するに支給する回数が年に3回以内ということです。
会社が賞与と呼んでいても、支給回数が4回以上になると、健保法上では賞与ではなく報酬となります。
この場合、前1年に支払われた(あるいは、支払われたであろう)賞与の総額を12で除し、その額を月額に加算して標準報酬月額を決定します。
健保の場合、賞与にかかる保険料は、給付額に反映されません。
賞与でたくさん保険料を払うと将来の年金が増える厚生年金とは、扱いが違います。
ですから、同じ金額の保険料を払うのなら、標準報酬月額に含めた方が得たという考え方も、あながち見当違いではありません。
傷病手当金、女性なら出産手当金などは標準報酬月額と連動しますから、メリットは小さくないでしょう。
ただし、賞与・賃金規定を改めて、年4回支給と規定しても、すぐに「賞与」が「報酬」に変わるわけではありません。
賞与を報酬とみなす条件は、 「ア 規定によって年間を通じ4回以上の支給につき客観的に定められているとき イ 7月1日前の1年間を通じて4回以上行われているとき」 の2つを満たす場合です。
ですから、「賞与の支給回数が、7月2日以降、新たに4回以上に変更されても、次期定時決定までは賞与の取扱いは変わらない]という結論となります。
【平成16年:事例研究より】