当社は、3月決算確定後、6月に年俸制を更改するというパターンを採っています。
このため、増減の大きかった社員については、随時改定が必要となります。
精神疾患で休みがちの社員がいて、今回、大幅減俸となりましたが、年休を使い果たし、近く休職発令が出ると予想されます。
この場合、随時改定の対象から外れてしまうのでしょうか。
【大阪・T社】
社会保険では、区切りのよい幅で区分した標準報酬月額等級に当てはめて、事務処理を行っています。
この等級は1年間固定するのが原則ですが、実態の報酬が大きく変動した場合には、期間途中の変更も認められます。
これを、随時変更といいますが、あくまで例外的な処理で、その要件は厳格に定められています。
具休的には、次の3つを「すべて」満たすケースに限って、随時変更の対象になります。
・固定的賃金に変動があったとき ・変動月以後引き続く3ヵ月の平均月額と現在の標準報酬等級との間に2等級以上の差が生じたとき ・3ヵ月とも支払基礎日数が20日以上あるとき年俸の更改は、昇給・降給の一類型ですから、第一の条件はクリアします。
精神疾患で勤務もままならない状態だったというのですから、固定の年俸も大幅なダウンがあったと推測されます。
しかし、病気休職により、賃金の支払い基礎日数が20日に満たない月が、変動月以降3ヵ月の問に1月でもあれば、それだけで随時変更の対象から外れてしまいます。
「仮に病気休職がなかったとしても、2等級以上の差が生じていたはず」という主張は認められません。
ですから、お尋ねの方については、標準報酬月額の改定は行わず、これまでどおり高い保険料を納める必要があります。
しかし、一方で、休職期間中は健康保険から標準報酬日額の6割の傷病手当金が支給されます。
その算定ベースは従来の高い標準報酬等級ですから、本人にとっては不満はないはずです。
【平成16年:事例研究より】