総報酬制導入後、初の退職者が出るが、年金計算の仕組み教えて【平成16年:事例研究より】

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今度、総報酬制が導入されてからはじめての定年退職者が出ます。

定年後の生活設計を考えるうえで、年金額は重要ファクターなので、本人にひととおり説明してあげたいと考えています。年金計算の新しい仕組みを教えてください。

【大阪・K社】

年金受給が近づいた人は、社会保険事務所で年金見込み額を照会できます。

対象者の範囲は、平成15年以降、58歳から50歳まで段階的に引き下げられる予定です。

しかし、退職者に説明する人事労務担当者として、基本的な計算式は習得しておくべきでしょう。

平成15年4月から同17年4月までに60歳に到達する男性の場合は、62歳まで報酬比例部分の年金だけを受け取ることになります。

定額部分と加給年金はあくまでつきません。

ですから、当面、男性が対象なら、報酬比例の計算だけ覚えておくと十分です。

もちろん、それだけでもけっこう複雑ですが…。

報酬比例部分は、総報酬制導入以前(平成15年3月以前)と以後(同15年4月以降)に分けて計算します。

[従前額保障]という特例措置もありますが、目安を知るだけですから、原則の算式のみを示します(表)。

15年3月以前の期間に対応する年金は、標準報酬月額を使って計算します。

この期問のすべての標準報酬月額を足し合わせ、その総額を被保険者期間で除したものが「平均標準報酬月額」です。

これに生年月日に応じた給付乗率(9.5/1000?7.125/1000)を乗じ、さらに15年3月以前の被保険者月数を乗じます。

一方、平成15年4月以降の期間に対応する年金は、標準報酬月額と標準賞与の両方を計算基礎とします。

この期間のすべての標準報酬月額と標準賞与を加算し、その総額を被保険者期間で除したものが「平均標準報酬額」です。

この金額に生年月日に応じた給付乗率(7.308/1000?5.481/1000)を乗じ、さらに15年3月以後の被保険者月数を乗じます。

両方の方法で算定した年金額を合算し、それに物価スライド0.988をかけたものが、報酬比例部分の年金となります。

【平成16年:事例研究より】