総報酬制の導入に関して、質問があります。
賞与を受け取ると、その月のうちに辞める社員が少なくありませんが、退職月に賞与が出ても、保険料を徴収していました。
総報酬制になると、その金額もバカになりませんが、扱いは同じと考えてよいのでしょうか。
【埼玉・A社】
最近は雇用情勢が厳しくなっているので、以前ほど目立だなくなりましたが、賞与の時期に「もらうものだけはもらって」退職する人が多いのはどこの企業も同じでしょう。
退職時の保険料は、「前月から引き続き被保険者だった人がその資格を喪失した場合には、その月分の保険料は算定しない」というものです(改正健保法第158条第3項)。
しかし、賞与にかかる特別保険料は、本法とは別に、附則第3、4条に定められていました。
第3条第2項では、「特別保険料の額は被保険者が賞与等を受けたる月につきその額に1,000分の10を乗じて得たる額とする」と定め、退職時の特例はありません。
このため、ご指摘のように、月例給与分は免除されても、賞与だけは徴収されるという形になっていたのです。
しかし、総報酬制が導入されると、「最後の保険料くらい、まあいいや」という話にはなりません。
一般保険料率は、健康保険・厚生年金合わせて1,000分の217.8ですから、この徴収があるとないでは大違いです、 平成15年4月からは、一般保険料額の定義が次のように変わりました。
・導入前「各被保険者の標準報酬月額に一般保険料率を乗じて得た額」 ・導入後「各被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ一般保険料率を乗じて得た額」 このように、賞与にかかる保険料も一般保険料のなかに含まれ、その全休に対して、前述の第158条第3項の規定が適用されます。
つまり、退職時の給与、賞与ともに、「前月より引き続き被保険者たった人」については、保険料の徴収はありません。
【平成16年:事例研究より】