「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づき、企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払いする制度です。
立替払いされる賃金の額は、未払い賃金総額の8割です。
ただし、未払賃金総額には、退職日の年齢に応じて限度額が設けられており、未払賃金総額が限度額を超えるときはその限度額の8割となります(賃金の支払の確保等に関する法律施行令4条)。
退職日における年齢 | 未払賃金総額の限度額 | 立替払上限額 |
---|---|---|
45歳以上 | 370万円 | 296万円 |
30歳以上45歳未満 | 220万円 | 176万円 |
30歳未満 | 110万円 | 88万円 |
使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項および賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければなりません(労基法108条)。
その他、使用者は賃金台帳に、①氏名、②性別、③賃金計算期間、④労働日数、⑤労働時間数、⑥36協定に基づき労働時間を延長し、もしくは休日に労働させた場合または原則午後10時から午前5時までの間に労働させた場合には、その延長時間数、休日労働時間数および深夜労働時間数、⑦基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額、⑧労働協約によって賃金の一部を控除した場合には、その額を記入しなければなりません(労基則54条)。
⑥就業規則で法定労働時間と異なる所定労働時間または休日の定めをした場合には、その就業規則に基づいて算定する労働時間数をもってこれに代えることができるとされています。
⑦通貨以外のもので支払われる賃金がある場合には、その評価総額を記入しなければなりません。
労働者名簿と異なり、日々雇い入れられる者(1カ月を超えて引き続き使用される者を除く)についても、調製が必要ですが、③の賃金計算期間については記入を要しません。
また、法41条で定める監督・監理の地位にある者など労働時間などに関する規定の適用が除外されている者については、⑤の労働時間数、⑥時間外労働時間数などの記入は必要ありません。
なお、使用者は、労働者名簿、賃金台帳および雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する書類を3年間保存しなければなりません(法109条)。
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。
最低賃金には、地域別最低賃金および特定(産業別)最低賃金の2種類があります。2以上の最低賃金の適用を受ける場合は、これらにおいて定める最低賃金額のうち最高のものが適用されます(最低賃金法6条)。