平成15年4月から総報酬制がスタートし、ボーナスからも高額の保険料が差し引かれるようになりました。
ボーナスを減らして月々の給料を増やすなど、支払い方法を変えることで、保険料の節減ができないでしょうか。
【山梨・I社】
総報酬制の元々の発想は、ボーナスの比率が高い被保険者は年収に比べ支払い保険料が相対的に少ない、という問題を解決しようというものです。
年収比例で保険料を徴収するのですから、賞与と月給の比率をどう調整しようと、原則的に保険料に差は出ません。
ですから、月給を増やす等の小手先の対応は、無意味です。
ただし、収入が非常に高い人に限っては、多少、考慮の余地がないわけではありません。
なぜかというと、標準賞与額には、健康保険200万円(厚生年金150万円)の上限が設けられているからです。
それ以上は、いくらボーナスを払っても、保険料は200万円(150万円)を基に算定されます。
ですから、給料を減らしてボーナスを思い切って増やすことにより、年収に比べ保険料を少なくする方法が考えられます。
ただし、標準報酬月額にも上限がある点を見落としてはいけません。
月々の標準報酬月額にも健康保険98万円(厚生年金62万円)という最高限度があります。
それを超える給料をもらっている人は、超えた分に見合う保険料を納めていません。
ですから、月々の給料を減らすときに、この上限を超える分をカットすると、せっかくの保険料免除枠を自ら減らすことになります。
その分をボーナスに回しても、あまりメリットはないという結論になります。
逆にいうと、思い切ってボーナスを減らして月々の給料を増やし、上限を超える部分を大きくするという考え方もできます。
年俸制を採っている企業で、年俸を12分割して支払う方式に転換するのも、一法でしょう。
しかし、いずれにせよ、話は収入が高額の人に限定され、それ以外の階層について議論するのは、時問のムダでしょう。
【平成16年:事例研究より】