賞与3ヵ月だが、総報酬制で保険料どれだけ上がるか【平成15年:事例研究より】

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改正健康保険法の成立により、保険料率が1、000分の82に「引き上げられた」という話ですが、率だけみると従来の1、000分の85から下がっています。

総報酬制導入が絡んで来るので、引き上げの幅が実感できません。

当社の賞与の支給率は、3ヵ月前後で推移していますが、どの程度の影響があるのか、教えてください。

【長崎 G社】

保険料率の引き上げと総報酬制の導入は、ともに平成15年度から実施されました。

話の流れからいうと、保険料を賦課するベースを「月々の賃金」から「賞与も含めた総報酬」に転換するのに合わせ、保険料率も改定したわけです。

ベースとなる金額が増大しますから、これまでと同じ保険料率を適用すれば、保険料総額が跳ね上がってしまいます。

保険料を払う側としては、制度改正の前後で支払う保険料が変わらない水準まで、保険料率を引き下げて欲しいと期待しますが、健保財政が逼迫している折から、率の下げ幅は小幅にとどめる方針が打ち出されました。

結果として出てきた数字が、1000分の82です。

ただし、各企業で、総報酬に占める賞与の割合は、大きく違います。

ですから、今回の改正で受ける影響は、その賞与比率に応じて異なります。

どちらかといえば、賞与の支給月数が少ない中小企業のほうが、負担の増加は小さいといえます。

貴社は年間3ヵ月前後の賞与を支払っておられるので、その前提で保険料の増減を検証してみましょう。

標準報酬月額をWとして、総報酬制導入前の保険料を計算します。

月々払う賃金には、1000分の85(労使折半負担)の率で保険料が課せらていました。

事業主の年間の負担額は、 WX8 5/1000÷2×12ヵ月= 0. 5 1W 賞与に係る特別保険料率は、1000分の8(事業主1000分の5、被保険者1000分の3)でした。

月例給与に係る保険料率の約10の1ですから、賞与で払う金額に比べると、特別保険料は相対的に小額となります。

事業主分の保険料は、 WX3ヵ月×5/1000 = 0. 015W 年間トータルで支払う保険料は、0. 5 2 5Wとなります。

総報酬制導入後の保険料率は、1000分の82(労使折半)です。

年間に事業主の支払う保険料は、(WX12ヵ月十WX3ヵ月)×82/1000÷2 = 0.615W 制度改正前後で比較すると、保険料は、 0. 615W÷0.525W= 1.17 約17%増加することになります。

賞与の支給率を0力月から6ヵ月に変化させて、それぞれ増減率を計算してみました。

賞与ゼロの企業以外は、いずれも負担額が増加しています。

この試算結果をみると、「引き上げ」という表現が当てはまることがよく分かります。

【平成15年:事例研究より】