トップ » 社会保険 » 健康保険と国民健康保険の違い
今度、一身上の理由で退職される方ですが、持病があって、定期的に通院しています。
以前は、退職後の継続療養の制度が適用されましたが、今後はどうなるのでしょうか。
国民健康保険を使って、療養を受けるほか仕方がないのでしょうか。
【静岡・P社】
平成15年4月から、健康保険・国民健康保険の違い、被保険者・被扶養者の違いに関わりなく、原則として医療保険を使って治療を受けた場合の自己負担金割合は、3割に統一されています。
ただし、3歳未満の乳幼児は2割負担、70歳以上75歳未満の高齢者は1割(一定以上の所得者は2割)です。
健保と国民健康保険で、自己負担金割合が異なっていた時代には、健保を辞めて国民健康保険に切り替わるとき、自己負担額が増えるという問題がありました。
会社を辞めて、収入が減るときに、逆に医療費負担が増えるのですから、対象者にとっては大打撃です。
このため、健保の被保険者期開か1年以上ある人に限って、初診日から5年間は健保で治療を受けられるという特例が設けられていました。
しかし、自己負担金割合の統一によって、退職後の継続療養制度は存在意義を失ってしまいました。
このため、平成15年3月をもって、この仕組みは廃止されています。
現在は、病院で治療を受ける人は、すでに在職中から3割の自己負担金を支払っています。
退職後も、負担割合は3割で変わりません。
以前は、退職後(資格喪失後)の継続療養を受ける人は、健保には1円も納めないにも関わらず、健保の治療を受けられるというメリットがありました。
しかし、そういう人でも、健保の資格喪失後は、国民健康保険の被保険者となり、応分の保険料を納めていたはずです。
今回の改定で、継続療養はなくなりましたが、それにより国民健康保険の保険料負担が新たに発生するわけではありません。
ですから、持病のある方が退職して国民健康保険に切り替わっても、制度上、特別な不利益は生じないのです。
【平成16年:事例研究より】