遺族厚生年金をもらっている女性が、65歳になると、遺族厚生年金、老齢厚生年金、老齢基礎年金をどのように組み合わせるか、3通りの選択肢の中から、選ぶ必要があります。
どれを選ぶのが一番よいのか、基本的な考え方を教えてください。
【長野 F子】
年金は、同一の事由に基づく年金以外、併給しないのが原則です。
ですから、厚生年金に加入したことのある女性が、65歳に達したとき、老齢厚生年金と老齢基礎年金を受けるのが、法本来の姿です。
しかし、遺族厚生年金に限っては、老齢基礎年金と組み合わせるのも可能です。
さらに、妻が夫の死亡により遺族厚生年金を受けている場合には、夫の老齢厚生年金、自分の老齢厚生年金、老齢基礎年金をミックスして受給する道も開かれています。
それぞれの得失を比較するため、3つの選択肢を整理してみましょう。
①遺族厚生年金(夫の厚生年金の4分の3)十老齢基礎年金 ②自分の老齢厚生年金十老齢基礎年金 ③遺族厚生年金の3分の2(夫の老齢厚生年金の2分の1)十自分の老齢厚生年金の2分の1十老齢基礎年金 老齢基礎年金の部分は同じですから、それ以外の部分を比較すればよいわけです。
①は、専業主婦だった人など、自分の老齢厚生年金がゼロか低額の人が選択するはずです。
②は、自分の老齢厚生年金がかなり高額な人、つまり厚生年金の被保険者期間が長かった人が、選択するでしょう。
一番わかりにくいのは、③のタイプです。
どういう人たちが、この第三の選択肢を選ぶのでしょうか。
面倒そうにみえますが、意外と原則は単純です。
まず、①から③を引いてみましょう。
答がプラスなら、①が有利、その逆なら③が有利ということです。
①から③を引いた残りは、「夫の老齢厚生年金の4分の1マイナス自分の老齢厚生年金の2分の1」です。
イメージをつかみやすいように、2倍してみましょう。
「夫の老齢厚生年金の2分の1マイナス自分の老齢厚生年金」 結局、自分の老齢厚生年金が、夫の年金の2分の1より大きいとき、答はマイナスになりますから、③を選択した方が得という結論になります。
次に、②から③を引いてみましょう。
残余は、「自分の老齢厚生年金の2分の1マイナス夫の老齢厚生年金の2分の1」。
これも2倍すると、「自分の老齢厚生年金マイナス夫の厚生年金」。
つまり、自分の老齢厚生年金より、夫の年金が大きいとき、答はマイナスになりますから、③が有利な選択ということになります。
もういちど、話を整理してみましょう。
自分の老齢厚生年金が夫の2分の1以下のとき…① 自分の老齢厚生年金が夫より多いとき…② それ以外のとき…]
【平成15年:事例研究より】