従業員が、業務中のヶがで障害等級13級と認定され、給付基礎日額の101日分の障害補償一時金を受けましたO一方で、労働基準法をみると、事業主は90日分の補償を行わなければならないと定めています。
両法の関係ほどのように考えればよいのでしょうか。
【岩手 G社】
労基法に基づく災害補償は、事業主に過大な一時的補償負担を課すものですから、その危険負担を分散ずる目的で労災保険の仕組みが整備されています。
労災保険法制定当時は、労基法の災害補償規定をモデルに労災保険の給付体系が形作られましたが、その後、障害等級1級から7級までを対象に年金制度が導入されるなど、労災保険の補償水準は労基法の基準を大きく上回るようになりました。
障害等級8級以下は、現在でも一時金で支払われますが、その給付日数は労基法と同じではありません。
たとえば8級の場合、労災保険503日に対し、労基法450日と大きな差があります。
金額算定のベースも、労災保険は給付基礎日額、労基法は平均賃金と異なっています。
給付基礎日額の計算方法は、基本的には平均賃金と同じですが、最低保障額がある点、私傷病期間を除外する点などが違います。
結果として、障害補償給付に関しては、労災保険のほうが手厚い補償内容となっています。
労基法第84条では、「労災保険法等で、労基法の災害補償に相当する給付が行われるべきものである場合においては、使用者は補償の責を免れる」と規定しているので、企業が重ねて補償を行う義務はありません。
【平成15年:事例研究より】